ラジオ体操みたいに新陳代謝を促す習慣

——飽きないということですか?

「っていうか、以前、1週間分を週末にまとめて観ていたことがあるんです。そうするとやっぱりちょっと違うんですね」

——どう違うんですか?

「1週間分を一気に観るのはつらい。週末は録りだめた他のドラマも観たりするんで、あんまり時間をとられたくないし。だから分散させておきたいんです」

——分散?

「そう、毎日に分散されていたほうが楽なんです」

——楽なんですか……。

視聴は一種の義務なのだろうか。「楽」ということは、彼も本当はつらいのではないだろうか。

「つらくはないですよ」

きっぱり断言する藤堂さん。

「今やってる『カムカムエヴリバディ』などは毎回、ホロッとさせられます。観ながら泣いたりすることもありますしね」

——毎回ホロッとするんですか?

まったく無感動な私が驚くと、彼は深くうなずいた。

「毎回あります。毎日観ていると毎日1回はホロッとする。それでハマるのかもしれません。泣くっていうのは体にもいいらしいじゃないですか」

連続テレビ小説はラジオ体操みたいなもの。毎日の新陳代謝を促す習慣ということなのだろうか。

「不健全な男女関係」より家族関係が中心に

——すみません、何にホロッとするんでしょうか?

念のために確認すると、彼は力説した。

「家族の話ですね。子を思う父とか父を思う子とか。そういえばNHKのドラマはどれも家族がテーマですね」

NHKの「番組基準」にも「家庭生活を尊重する」と規定されている。ちなみに結婚については「まじめに取り扱」うと決められており、結婚以外の関係については「不健全な男女関係を魅力的に取り扱ったり、肯定するような表現はしない」と固く禁じている。それゆえ男女の情愛表現は制限され、ドラマはおのずと家族関係が中心になるのである。

「大河ドラマもそうですが、NHKは主人公を生い立ちから描くでしょう。それがいい」

思い出したように讃える藤堂さん。

——生い立ちのどこが、ですか?

「生い立ちから説明してくれれば、よくわかるじゃないですか、その人がどうしてそうなったのか、わかりやすいじゃないですか」