特筆すべきは一連の研修は内部の講師で行うことが多く「LGEもサムスンも90%の講義を内部講師で行っており、交渉技術などのコーチングで外部講師を依頼する程度」(李教授)という。外部の研修機関に依頼することが多く、研修ノウハウが蓄積されないという問題点を抱えている日本に比べて韓国企業の教育システムの充実ぶりがうかがえる。
社員に対する教育投資も決して低くはない。サムスンエレクトロニクスの10年の研修修了者は29万3000人。一人当たりの研修時間は87時間。一人当たりの研修費用は7万円強である。また、LGEの一人当たりの研修時間は56時間。研修費用は10万円近い(08年)。ちなみに日本企業の国内の教育研修費用は約4万円(産労総合研究所調査、10年度)。従業員数約6000人の電機メーカーは約5万円だ。単純には比較できないが、平均的な日本の大手企業の倍の予算を投じていると見ることもできる。
もちろん、オンライン学習や集合研修だけではない。海外へのMBA留学も積極的に行っている。
「LGEでは毎年100人、サムスンエレクトロニクスでも60人程度派遣しています。会社で選抜されると、たとえば家族がいる人は一緒にアメリカに行き、2年間勉強する機会が与えられます。当然、費用は会社が負担します」(李教授)