ロシアのウクライナ侵攻について、世界中から非難の声があがっている。なぜこうした状況になったのか。政治ジャーナリストの清水克彦さんは「ロシアは『デジタル戦』でウクライナに負け、情報統制に失敗した。これはプーチン大統領にとって想定外の事態だったはずだ」という――。
2022年3月30日、モスクワのクレムリンで行われたイングシェチア共和国のマフムード=アリ・カリマトフ州知事の会談に耳を傾けるロシアのウラジーミル・プーチン大統領(ロシア)。
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
2022年3月30日、モスクワのクレムリンで行われたイングシェチア共和国のマフムード=アリ・カリマトフ州知事の会談に耳を傾けるロシアのウラジーミル・プーチン大統領(ロシア)。

ロシア政府に都合の悪い情報は次々と削除

ロシアとウクライナとの停戦交渉に少しずつ変化が見られるようになった。ロシアとしては、勝利と呼べるだけの戦果をあげ、それを盾に交渉を有利に運びたいところだが、戦況は依然として膠着こうちゃく状態だ。その要因は情報戦での失敗だ。

ロシアの通信規制当局ロスコムナゾルは、ロシア軍がウクライナへの侵攻を始めた2日後の2月26日、独立系メディアに対し、ロシア軍のウクライナでの軍事行動を、「攻撃」や「侵攻」といった表現で報じた記事の削除を要求した。