増えている返金保証つきのサービスや商品

最近、購入者が満足いかなかった場合、すでに支払った料金を返す返金保証付きのサービスや商品が増えています。これも行動経済学の理論に則ったやり方です。

返金保証が増えているのはそれだけ事業者にメリットがあるからです。第一に、返金保証をするのは商品やサービスに自信があるからだと、消費者に好イメージを与えることができます。

また返金保証は、顧客をつかみ、つなぎとめる効果も期待できます。返金保証には保証期間があります。その期間は顧客にとって、いわばお試し期間。ダメなら返金してもらえばいいと思うことで、入会や購入のハードルが低くなります。

意外に返金を求める顧客が少ないワケ

池上彰『池上彰の行動経済学入門』(学研プラス)
池上彰『池上彰の行動経済学入門』(学研プラス)

しかし、こうして入会し、保証の期限を迎えると、その時点で返金を求める顧客が多いように思いがちですが、実際はそうではないといいます。

というのは、ここで行動経済学のいう「保有効果」が働くからです。一度手にしたものは手放したくないという心理で、それが作用するために保証期間が過ぎても保有を継続することになります。

さらにダイエット・トレーニングなどでは「ここまで続けてきたのに、やめられない」という「サンクコスト効果」も作用し、返金を求める人は少数にとどまるのです。

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