高校へは妹と自転車通学
王女はデン・ハーグにあるエリート中高校(ギムナジウム)に妹2人とともに自転車通学し、2021年5月の卒業試験では、大変なプレッシャーの中で「クムラウデ」という最高レベルの成績を収めた。歴代の王室メンバーで、ギムナジウムのクムラウデを獲得したのは、彼女が初めてだという。
この後は大学に進学する予定だが、王女は現在、1年間の「ギャップイヤー」を過ごしている。ギャップイヤーとは、高校卒業後、次の進路を決める前の準備期間だ。オランダではこれを取る若者が増えており、インターンをしたり、放浪の旅に出かけたりして、人生経験を積む人が多い。彼女は歴史、経済、法律に特に興味を持っているようだが、どの大学で何を学ぶかはまだ明らかにしていない。
本格的な公務は、大学卒業後に始まる。このため、彼女は18歳の誕生日を前にマルク・ルッテ首相に手紙を書き、成人王族が受ける年間2億円相当の手当てを辞退した。理由は「大した公務をしていない中、また多くの学生がコロナ禍でつらい思いをしている中、心苦しい」というもの。この決断には「全国学生自治会」をはじめ、多くの国民から賞賛の声が上がった。
ただ、2021年12月の誕生日には、宮殿近くの公園で20人以上を招いて誕生会を開催したことが問題になった。国王はルッテ首相を通じて、屋外での開催であり、必要な感染対策も行ったと弁明した上で、「(パーティーは)正しい判断ではなかった」と反省の意を表明。しかし、アマリア王女本人への批判の声は、国民からはあまり上がらなかった。
自伝はベストセラーに
2021年4月に公表されたIpsosの調査では、王女の印象について「自発的で素敵な女の子」「将来いい女王になりそう」といったポジティブな回答が目立った一方、「まだ“青い”」「まだぎこちない」と、若さと経験の浅さを指摘するものもあった。「アマリア王女は(成人となった)18歳からは、もっと公の場に出るべき」と考える人は52%に上っている。
昨年のクリスマス、オランダでは著書『Amalia』(アマリア)をプレゼントとして贈る人が多かった。そして、出版から3カ月経った今も、同書は書店でベストセラーのランキング上位に入っている。
アマリア王女が成人した日、各種メディアが特集を組み、国民がメッセージを寄せた。中でも印象的だったのは、彼女と同年代の学生たちが寄せたコメントだった。
「自分自身を見失わないで」「自由な人生を謳歌して」という、王女個人の幸せを願う声や、「普通でいて」「オープンでいて」という声もあった。