ウクライナ情勢でインフレに拍車が
ウクライナ侵攻に対抗するために、西側諸国はロシアに対して国際的な決済網のSWIFTの使用停止、VISAやマスターなどの国際カード決済中止をはじめ、ロシア船籍の港湾の使用中止や物資の移動の禁止などかなり厳しく対処しています。
短期的に大きな影響が出るのが、原油や天然ガスのエネルギー価格です。図表2は、日本が大きく依存するドバイ原油の価格です。コロナが流行し始めた2020年4月には1バレル17ドル台まで落ちた原油価格ですが、直近(3月11日午前)では約106ドルになっています。
天然ガスも、ロシアからドイツまで開通予定だった「ノルドストリーム2」のパイプラインの運用が、米国の圧力などから行われない状態となっており、価格も高騰しています。
当然のことながら、日本でもガソリン価格や石油製品の価格が高騰しています。
この戦争がいつまで続くかは分かりませんが、米国がロシア産原油の輸入を制限したことなどから、しばらくは石油製品の高止まりが続くでしょう。ガソリン車ユーザーの大幅なコスト増は避けられません。日本政府はガソリン価格などを抑えるために、補助金を出していますが、焼け石に水状態で、物価の上昇を抑えられないでしょう。
また、ロシアやウクライナは世界有数の小麦生産国であり、小麦製品のさらなる値上がりも想定されます。パン、麺類などは毎日のように食卓に並ぶだけに価格増が家計に大ダメージを与えるのは必至です。
経常収支も赤字で日銀はどう対応する
国の台所事情も大変です。日本ではとうとう経常収支も赤字に陥りました。経常収支は、実力値でのその国の「稼ぎ」を表すものです。
モノの輸出入の差額=「貿易収支」
特許料などサービスの対価の出入り=「サービス収支」
金利や配当の出入り=「(第一次)所得収支」
特許料などサービスの対価の出入り=「サービス収支」
金利や配当の出入り=「(第一次)所得収支」
などからなります。