サウスチャイナ・モーニングポスト紙は、「中国では、人身売買に出された女性または児童を買うことは、非合法な動植物を買うよりも罪が軽い」と指摘する。
非合法の植物の購入には最大7年の懲役が適用されるが、人身売買で人を購入した側は最大3年の懲役刑が科されるに過ぎない。売る側には5年以上の懲役、または最大で死刑が科されるものの、買う側の罰則が極度に軽いことから、高い需要が創出されているとの指摘がある。
また、過去に行われていた一人っ子政策も、人身売買を間接的に促進する結果となったとの見方がある。一人しか産めないのならば男児がよいとの選り好みが当時発生し、今では性別間の人口バランスが崩れている。未婚男性のあいだで女性の需要が極端に高まっている状況だ。
清華大学公共安全研究院の調査によると、売買の被害者となっているのは14歳から30歳の女性と幅広い。さらに、精神病の有症者や移民など社会的弱者がターゲットとなるケースが目立つという。
鎖で繋がれた女性の一件は、人身売買が暗黙的に許されてきた中国の一部地方の問題を浮き彫りにした。不幸被害者をこれ以上生み出さないよう、法整備を加速すべきとの議論が噴出している。
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら