関連性だけでなく関連の大きさに目を向ける

興味深いことに、後に、若者対象のずっと規模の大きな研究で、ほとんど同じ結果が得られました。ケータイやタブレットの画面の使用と睡眠との間には関連がありますが、それはわずかで、画面を1時間余計に見ると睡眠時間が3~8分減りました(※6)

トム&デイヴィッド・チヴァース『ニュースの数字をどう読むか 統計にだまされないための22章』(ちくま新書)
トム&デイヴィッド・チヴァース『ニュースの数字をどう読むか 統計にだまされないための22章』(ちくま新書)

こう書くと、ばらつきが大きいことが見えにくいかもしれません――おそらく、子どもやティーンエイジャーのほとんどは影響を受けませんが、非常に大きな影響を受ける人が少数いるのでしょう。しかし、就寝前にケータイやタブレットの使用を禁止しても、国民全体の睡眠習慣が大きく改善するとは思えません。

新聞やメディアが、統計学的有意だけでなく効果量についても関心を持つようになればうれしく思います。技術的に細かいことにまで立ち入る必要はなく、単に「4時間の読書は、睡眠時間の約10分の短縮と関連があった」と言ってくれれば、気にすべきかどうかを読者が判断するのに必要な情報を提供できるはずです。

そして読者は、関連性(ベーコンを食べるとがんになるか?)だけでなく、その関連がどのくらい大きいのか(もし20年間にわたって毎日ベーコンを食べたとしたら、がんになる可能性がどのくらい増えるのか?)にも注意を向けるべきです。もし記事の中にその点について何も書かれていないようなら、もっともありそうな理由は、その効果は非常に小さく、その記事は見かけほど面白くないから、です。

[脚注]
※1. Jean Twenge, ‘Have smartphones destroyed a generation?’, The Atlantic,2017 
※2. Dr Leonard Sax, ‘How social media may harm boys and girls differently’, Psychology Today, 2020 
※3. Orben, A. and Przybylski, A., ‘The association between adolescentwell-being and digital technology use’, Nature Human Behaviour, 3(2)(2019) doi : 10.1038/s41562-018-0506-1
※4. Damon Beres, ‘Reading on a screen before bed might be killing you’,Huffington Post, 23 December 2014 
※5. Chang, A.-M., Aeschbach, D., Duffy, J. F. and Czeisler, C. A., ‘Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, andnext-morning alertness’, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 112(4)(2015), pp. 1232-7 doi : 10.1073/pnas.1418490112
※6. Przybylski, A. K., ‘Digital screen time and pediatric sleep : Evidence from a preregistered cohort study’, The Journal of Pediatrics, 205(2018), pp. 218-23. e1

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