言葉で動かそうとすると、新人はパンクする

2.言葉で動かさず、スモールステップで

人間ってヘタに言葉が通じるものだから、言葉で人を動かそうとしてしまう。新人指導でも、言葉で教えよう、動かそうとしてしまう。しかし自分でも覚えがあるはず。初めて飛び込む世界で、初めて聞く言葉だらけだと、ついていくのが大変。すぐについていけなくなり、思考停止に陥ってしまう。

新人がついていけなくなり、思考停止になったのに気づかず、どんどん言葉をかけてしまうと、新人はついていくことを諦め、完全に思考停止してしまう。すると、指導に慣れていない人は「今年の新人は理解力や学力がない」、「やる気に乏しい」と苛立ち、空回りに陥りがち。

新人は新しい職場で頑張ろう、と気負っている。うまくやりたいと強く願っているから、本来、やる気がある。けれど、ついていけないものはついていけない。言葉で人を動かそうとすると、言葉が多すぎて新人はパンクする。

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見本を見せて、実際に手を動かしてもらうのがよい

新人を指導するには、その場で見本を見せればすぐマネできる、小さな工程(スモールステップ)に分割すること。見本を見せて、新人にやってみてもらい、無事できたら、次の工程の見本を見せる。これを繰り返した後、目の前で一連の作業を通しでやってもらう。一度はうまくやったのだから、落ち着いてやればできる。「途中で詰まっても焦らなくていいから、さっきやったのを思い出しながらやってごらん」と声をかけ、安心させる。迷っている様子でも変に言葉をかけず、自分で思い出しながらやってもらう。

ところどころ詰まりながらもなんとかやりおおせたら、「オーケー、じゃあ、今の一連の作業を繰り返してやっておいて」と言って、その場を立ち去る。こうすることで、上司であるあなたの目を気にせず、目の前の作業に集中して繰り返すことができる。作業に集中できるから、なぜこの作業が必要なのかも理解できるし、だんだんと上達する。10回もこなしたら、そのルーチンワークは身についてしまう。

新人を指導する際は、あまりたくさんの言葉で説明しようとせず、誰でも目の前で見本さえ見せてもらえばその場でマネできるくらいの工程に作業を分割して、一つ一つ、実際に手を動かしてやってみてもらうとよい。