女性のタイプに合わせ12のブランドを展開する「ポイント」
かつて多くの男性は「いつかはクラウン」と憧れましたが、今では「車はいらない、自転車で十分」という人も増えているといいます。
購買意欲が底をつく時代の空気の中、ユニクロのようにリーズナブルで「標準化」した商品を店舗展開していくのもひとつの成功例でしょう。
しかし、現代の若者が「物欲が乏しい」といわれる背景には、企業が彼らの嗜好の多様性に対応できていないという側面もあります。
ユニクロとは対照的に、顧客の様々な好みに応じ適切な商品を提供し、売り上げを拡大している「ポイント」というアパレル会社があります。
現在、20~30代の女性を対象にした12のブランドがあり、国内外に646店舗があります。04年には東証一部に上場し、09年2月期(連結)の売上高は867億円。10期連続で増収増益という勢いで、年商はファーストリテイリングやしまむらにはおよばないものの、経常利益率は18%と両社を上回っています。昨秋には、製品・経営手法において革新的で独自性のある戦略を実行し、高い収益性を達成する企業を表彰する「ポーター賞」(一橋大学大学院 国際企業戦略研究科主催)も受賞しました。
同社の特徴は、とりわけ顧客の女性を細かくセグメンテーションしてブランド展開をしているところにあります。顧客の嗜好に合わせて、細かくコンセプトを変え、それに合わせて店の立地や販売戦略をそれぞれ練っていきます。
同社の代表的なブランドに、「ローリーズファーム」と「ジーナシス」があります。前者のコンセプトは、普通の生活感覚を持った女性に清潔感のあるコーディネートを提案する。親が安心して買ってあげられるような「優等生」タイプのファッションです。後者のコンセプトは、素材・ディテールにこだわり、「女性からみた格好よさ」を訴求すること。都会でばりばり働く「キャリア・ウーマン」タイプのファッションです。