「なるほど」が偉そうに聞こえない使い方
その後、口癖になっている「なるほど」を言わないようにする闘いが始まりました。さまざまな場所で講師をしていますが、こういうところでは先生の立場であるため、生徒の意見に対して「なるほど」と言っても問題はありません。相手よりものをよく知っていることが、先生の前提ですから。
しかし、得意先や公開の場での講義やスピーチで「なるほど」と言うのは、こちらの思いとは裏腹に、偉そうに聞こえてしまうこともあるのです。
では、どういうときに「なるほど」を使えばいいのでしょうか。
それは「感嘆詞」としての「なるほど」です。
「なるほど! そういうことだったのね!」
「なるほど! やっと理解できた!」
「なるほど! よく分かった!」
と、「!」が付く感じ。モヤモヤしていたことが腑に落ちた。ストンと心に落ちた。発見できて、ちょっとびっくり! こういうときに「なるほど!」と使えば、「あなたのおかげで、これまで理解できなかったことが分かったよ」というメッセージを送ることになります。
自分の口癖を知る近道は録音・録画
腕を組んで、「あなたの意見を認めます」という意味で「なるほど」と言うのではなく、両手をパンッと叩いて「分かった!」という感じで、「なるほど!」と言う。「あなたのおかげで、分かった」「発見できた」というニュアンスを込めて言うと、不快な印象を与えないで済みそうです。
私が「なるほど」とよく言っていることを発見できたのは、自分が出ている動画を見たおかげです。そこに映る私は、自分では想像できないほど、滑舌が悪く、早口で、「なるほど、なるほど」を連発する嫌な感じの人間でした。
しゃべり方を直すには、自分の姿を見る、声を聞くのが近道です。
その後の私も、相変わらず「なるほど」をよく言いますが、以前に比べて少し減り、感嘆詞として使うことが増えました。なるほど! やっと理解できました。