大前研一ビジネス・ブレークスルー大学学長。1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業。東京工業大学大学院修士課程修了。MIT工科大学大学院博士課程修了。工学博士。最新著『訣別 大前研一の新・国家戦略論』(朝日新聞出版)は「大阪都構想」の理論書でもある。

大前 日本の中央集権的な統治機構は、江戸時代から明治、戦後と400年続いてきたものですから、これらを一気に道州制に移行するのは困難だし、現実的ではない。そこで既存部分を残しながら一部を開放してゼロベース改革を先行させる。中国では改革開放路線に舵を切った鄧小平が「一国二制度」で市場経済化を推し進め、それが今日の中国の爆発的な経済成長につながった。

この事例に学んで、日本も一国二制度を取り入れるべきだと思う。日本版一国二制度の一案として私が提唱しているのが「変人特区」です。独自の行政構想を打ち出している変人知事や変人市長に権限を与え、自由な発想で都市開発や産業政策をやってもらう。橋下市長の大阪都には是非、その先陣を切ってもらいたい。

橋下 変人知事から変人市長に鞍替えさせていただきました(笑)。

大前 変人、大いに結構。坂本竜馬や勝海舟なんて超変人だったんだから。

※すべて雑誌掲載当時

(小川 剛=構成 市来朋久=撮影)