11年11月末の「大阪ダブル選挙」で、橋下徹新大阪市長が誕生した。「大阪都構想」はこの国のかたちをどう変えるのか。さらに教育改革、税制度改革、衆議院選挙まで、2人の論客が、明日の日本を語り尽くす。
大前 新市長、おめでとうございます。
橋下 大前先生には『平成維新』の頃から本当に勉強させていただいています。大阪でも厳しくも温かいご意見をいろいろいただきまして、ありがとうございます。
大前 私は橋下さんが今に日本を変えてくれるとあちこちで言っているから。
橋下 先生、言いすぎです(笑)。僕なんかにそこまでの力はありません。
大前 大阪都構想にとどまらず、次期衆議院選挙は国の統治機構、道州制が争点になるという発言をされていた。消費税を何%上げるとか、そんなことは関係ない。国のかたちを問う選挙になる、と。あのメッセージが一番インパクトあった。永田町の連中はかなり堪えている。私は十何年、言っているけど、誰も聞いてくれない(笑)。
橋下 国の仕組みを変えるというのは、道路や施設をつくるような話と違って地味ですから、理解してもらうのがなかなか難しい。先の大阪府知事選と大阪市長選のダブル選挙でも、なかなか伝わりにくいところがあったのですが、僕は統治機構の組み替えをやらなければもはや日本は立ちゆかないと思っています。
政治家は政策を語りたがります。でも、政策は大前先生や専門家の皆さんのお力をお借りすれば、政治家などが語らなくてもいいものができる。いい政治家なら、選挙で有権者が選べばいいわけです。ところが、どんなにいい政策を出しても、どんなにいい政治家が出てきても、統治機構や行政機構という国のシステムがマッチしなければ何も実現できないんです。
学生時代から大前先生の『平成維新』を勉強させていただいていますが、明治時代から続いている中央集権体制、そして国と地方の無責任なもたれ合いの融合型の統治機構ですね、とにかくこの仕組みを変えなければ日本は何も変わらないし、変われない。だからまず大阪の統治機構、行政システムから変えたいと思っているんです。