日本のトップシークレットは誰が知っているのか
一方で、日本にはセキュリティクリアランスはない。これは大問題である。
日本国内で機密情報に触れる人の素性がわからない。
その人が、どんな情報漏洩のリスク要因を持っているのかもわからない。
データがこれまで以上にデジタル化されている世界において、情報伝達や端末の持ち運びが以前にも増して簡単になっていることを考えると、そのリスクは大きくなっているはずだが、それに対応するシステムがないのは心許ない。
しかもこうした情報は政府の中だけでなく民間企業が共有することもあり、機密情報のアクセス権限がどうしても曖昧になってしまう民間から情報が海外のハッカーに漏れていく可能性がある。
機密情報を保全する3つのポイント
まさに、最近話題になっている経済安全保障の問題だ。この観点からの情報保全については3つのポイントがある。
まず資本。つまり資金を提供して株主になることによって、内部情報にアクセスできる立場を確保した上で、必要な情報収集をする。株主には情報開示権がある。企業の知的財産情報の開示が要求されることもあるだろう。また企業を買収するなどして内部の機密情報へのアクセスを可能にもできる。
2つ目は、技術の提供である。ハードやソフトウエアのどちらも考えられるが、電子機器やサービスにバックドア(遠隔操作でアクセスできるようにする不正プログラム)を埋め込んでおくというものである。
これは基本的に、限られた国でしかできない。また、インテリジェンスの世界でのことであり、最終的には曖昧なままで終わることも多いが、ファーウェイ製品がこうしたかたちで使われてきたという報道が世界的にも多数なされているのは周知の通りである。
3つ目は人である。人のセキュリティクリアランスを制度化し、政府関係者のみならず、そこにかかわる民間にも情報アクセスを厳格にし、官民のインフラ、とくに情報インフラで使用するハード・ソフトの調達をしっかりと管理することで、こうした事態を防げる可能性は高まると思う。