これまで2000人を超えるコロナ患者を治療

湘南鎌倉総合病院が最初にコロナ患者を受け入れたのは、2年前となる2020年2月14日、ダイヤモンド・プリンセス号に乗船していた2人だった。そして同年4月、病院の正面玄関横にプレハブの「発熱外来」を設置し、コロナ疑いは発熱外来、それ以外の疾患はERへという体制を整えた。同時に、コロナ専用の31床のベッドを備える仮設A病棟を病院から徒歩5分ほどの場所に設置した。

するとA病棟を建設中、神奈川県から「A病棟付近に臨時病棟を追加で建設したいので、運営をお願いできないか」と打診され、湘南鎌倉総合病院の篠崎伸明院長は了承。神奈川県はB、C、D、E、Fの5棟を「コロナ臨時病棟」として設置し、あわせて180床を確保。運営を湘南鎌倉総合病院に託した。

湘南鎌倉総合病院の発熱外来
撮影=笹井恵里子
湘南鎌倉総合病院の発熱外来

そうして5棟のコロナ臨時病棟は、中等症患者を集中的に受け入れる「重点医療機関」として2020年5月半ばにスタートを切った。これまで2000人を超えるコロナ患者を治療している。

「今が最も厳しいと感じている」という理由

コロナ臨時病棟責任者である小山洋史医師が同院集中治療部部長と兼務するように、ここで働く医師の大半は通常所属している科や病院と掛け持ちだ。しかし會田医師は唯一といっていい、コロナ臨時病棟専属である。その會田医師がこれまでを振り返る。

「2020年5月、開設当初の入院患者は数人でしたが、夏の第2波では40人くらいまで入院患者が増えました。第3波(2020年12月から21年1月ごろ)は100人超え。第4波(2021年GW近辺)は常に40人くらい。そして第5波(2021年夏)では入院患者が120人まで達した時期もありました」

現在の第6波では入院患者は50人程度。第5波の半分程度である。しかし、「今が最も厳しいと感じている」という。なぜか。

「第5波から第6波の間まで3カ月くらい小康状態が続き、このコロナ臨時病棟も入院患者がほぼゼロというくらい落ち着いていました。あの期間に皆、緊張の糸が切れてしまったんです。第5波の時は本院の病棟を閉めて、そこを担当していた看護師さんを充てて100人規模の体制でしたが、第5波が終わった後、コロナ臨時病棟で長らく働いていたナースが辞めてしまい、戦力が大きくダウンしました。今はコロナに慣れている看護師さんが少なくなってしまいました。ですからたくさんの入院患者を受け入れることができないのです」

コロナ禍で同院の看護師にもインタビューをしたことがあるが、皆、生き生きと働いているように見えた。特別手当がつき、世の中から求められることが嬉しいと口にした看護師もいた。自分が感染する恐怖よりも、仕事へのやりがいが上回っていたのだ。