他人のネガティブな感情に影響されない思考法
セルフコントロール2:「捉え直し」によるアンガーマネジメント
ブドウ糖のパワーで怒らずにすむのが理想ですが、どうしても強い感情に流されてしまうことは誰にでもあります。
そのようなときは、アンガーマネジメントを実行して、せめて外部に怒りをぶつけることのないようにしたいものです。
そこでおすすめなのが、「捉え直し」です。スタンフォード大学のブレッチャートらが行った研究を紹介します。
被験者たちは、下の3つのグループにわけられていました。
① 普通の表情を見たグループ
② 怒っている表情を見たグループ
③ 怒っている表情を見て「捉え直し」をしたグループ
グループ②の被験者は、グループ①に比べてネガティブな感情が増えるという結果でしたが、グループ①とグループ③の被験者には差がでませんでした。
この実験でいう「捉え直し」とは、目の前にある現象を見つめ直し、見方や考え方を変えることで再定義することです。
たとえば、怒っている人を見て「ああ、この人、きっと嫌なことばかりあった日なんだろうな」とか「朝、奥さんとケンカしてきたんだな」のように捉え直しをすると、被験者の感情が変わったのです。
もう1つ、参考にしたい捉え直しに関する研究があります。
ミシガン州立大学のモーザーらは、被験者が嫌悪感を抱くような画像を見せたあと、以下の2つのグループにわけて実験を行いました。
① 「今“ 私”はどう感じているか」と自問自答するグループ
② 心のなかで「今“ 彼・彼女” はどう感じているか?」と三人称で語るグループ
この結果、一人称で語ったグループ①に比べて、グループ②は感情に関わる脳の扁桃体の活動が、急激に低下して、感情を抑えられたという結果がでたのです。
要するに、自分が怒っている状況において、客観視したふりをして「彼が怒っている」といい加減な捉え直しをするだけでも、怒りを抑制することができます。
本当に脳は、複雑怪奇でいながら、単純なところがあります。
怒りに捉われている状況下では、捉え直しも決して簡単なことではないかもしれません。ただ、これだけでいいなら、怒りを抑えることは不可能ではないはずです。