砂糖原料ではなく、ブドウ糖と明記されているラムネがいい

セルフコントロール1:ラムネを食べる

イライラして物に当たらないようにするためには、そもそも「イライラしない」状態をキープすることが本質的な解決につながります。

オハイオ州立大学のブッシュマンらによる研究で、人間は血糖値が低くなるとイライラしやすくなることがわかっています。ですが、イライラしないように血糖値を高める糖分の多いお菓子を食べると、ついつい食べすぎてしまって、体重が増えるなどのデメリットがメリットを上回ってしまう可能性も否定できません。

そこでおすすめなのがラムネです。

ガラスの容器に入ったラムネ菓子
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです

ポイントは、砂糖原料ではなく、ブドウ糖と明記されているラムネを選ぶこと。糖類にはさまざまな種類がありますが、ブドウ糖は糖の最小単位「単糖類」に分類されています。

糖類について
出典=『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

なぜブドウ糖がいいかというと、効率的に脳のエネルギーに変換されるうえに、血糖値を上げることができるからです。

厳しい糖質制限をした状態や、糖尿病の人などは脂肪から生成される「ケトン体」もエネルギー源になりますが、これは非常用バッテリーのようなものです。

砂糖原料のお菓子を食べても脳のエネルギーにはなりますが、脳が実際に使っているのは砂糖を構成しているブドウ糖だけで、果糖はエネルギーになりません。ブドウ糖原料のラムネなら、糖の最小単位であるブドウ糖だけを摂れるので吸収効率がいいうえに、脂肪分もありません。実際に、ラムネの効果は研究で科学的に実証されています。

<ラムネと脳の働きの研究>
森永製菓研究所の稲垣らによると、ラムネ約一本分を摂取すると、ワーキングメモリーや注意力などの認知能力が高まることが実験によって示されています。つまり、脳の働きの改善を促すわけです。

この結果から、ラムネを食べると、ちゃんとブドウ糖が体内に摂取され、脳まで届いていることがわかります。

※森永製菓がラムネを摂取した後、短期の認知機能、課題処理能力や注意力などにどのような 影響が及ぶかについて、自治医科大学医学部の間藤卓教授監修の下、ヒト試験により検証した結果(2020年2月発表

堀田秀吾・木島豪『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
堀田秀吾・木島豪『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

ちなみに、ラムネは食べすぎてもデメリットがあまりないので、定期的に摂取するのがおすすめです。「甘いものを食べたいのは体が欲しているから」とよくいうように、実際に甘いものに含まれている成分は生命維持に必須です。

ただ、脳が疲れてイライラしているときは、「体に悪いものを食べすぎないようにしよう」といった抑制機能が働かなくなっているので注意しましょう。そう考えると、脳がSOSをだす前にこまめにブドウ糖を補給しておくほうが、食べすぎてしまう確率が減るでしょう。

脳は1時間あたり、4~5gのブドウ糖を必要するといわれています。ラムネは一本あたり約29g入っていて、26g前後のブドウ糖が摂取できると考えられます。これを摂取量の目安にしてみてください。くれぐれも食べすぎにはご注意を!