食後血糖値が集中力や記憶力を低下させる

ただし、エネルギーを補充しなければといって糖質たっぷりのものを食べればいいかというとそうではありません。

糖質たっぷりのものを食べると、逆にエネルギー不足を引き起こす恐れがあります。

例えばがんばっている子どもを元気づけたくて、夜食にケーキなどの甘いものを出すなどするのは、長時間、脳を働かせるのには向かないので、おすすめしません。

なぜなら、食事で糖質をたくさん摂りすぎると、血中のブドウ糖の濃度(血糖値)が異常に高まってしまうため、脳が「このままの状態では危ない」と判断し、血糖値を下げるためにインスリンを出せ! と指令を出します。

すると、過剰にインスリンが出てしまい、急上昇した血糖値が急降下してしまう「血糖値スパイク」という現象が起きてしまうのです。

その結果、ブドウ糖が細胞に急速に取り込まれるため、血糖値がジェットコースターのように下がり、脳のエネルギー不足を引き起こしてしまうことが数多くのリサーチで示されています。

つまり、エネルギーを補充しても、脳のエネルギーとなるブドウ糖が一気になくなってしまい、集中力、記憶力、実行機能、認知力、セルフコントロール力など、脳がつかさどっている多くの力が衰えてしまう可能性があるのです。

電球のついたヘルメットをかぶって口を開けている3人の子供
写真=iStock.com/RichVintage
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脳のパフォーマンスを高める「低GI食」

一方、GI値が低い食品(低GI食)を摂取すると、ゆるやかに血糖値が上がり維持されるため、血糖値スパイクを防ぐことができ、安定的に脳にエネルギーを供給できるようになるので、継続的なパフォーマンスの維持ができることが、いろいろな研究によって明らかになっています。

例えば、12~14歳の子どもたちを対象とした研究では、高GI(低GIと逆で食後の血糖値が上がりやすいもの)の朝食と比べ、低GIの朝食を摂ったときのほうが、記憶力や注意力などを調べる認知機能テストの結果がよかったという報告があります。

また英国ブリストル大学の研究では、低GI食を摂ると子供たちの情報処理スピードが7~19%アップすることもわかっています。

ここ20年の脳科学、生理学、行動科学など世界のリサーチからわかってきた脳のパフォーマンスを高める1つの方法、それが、「低GI食」をうまく利用する、ということだったのです。