ど忘れは脳を働かせるチャンス

だから、ヒマさえあればスマホをいじってしまう人は、デジタルデトックスをしたほうがいいでしょう。グーグルがマインドフルネスを社員研修に取り入れたのは、社員たちに時間の空白を与えて、デジタルデトックスする重要性を熟知している証拠に違いありません。

私自身はランニングを日課としています。瞑想やサウナもいいでしょう。ですが、より簡単に日常生活に取り入れられる3分トレーニングがあります。駅で電車を待つ、カフェでコーヒーを待つ、エスカレーターに乗る、ほんの数分間、積極的にボーッとする習慣を身につけてください。

また、記憶の回路である海馬は、感情回路に極めて近い部分にあります。頭を使うには、情緒の安定が欠かせません。それは裏を返せば、ストレス過多のうつ状態で独創的なアイデアは出てこないし、記憶は定着しないということです。

最近、私は「すぐにググらない」ことも意識しています。もしど忘れしたら、それは脳を働かせるチャンス。ど忘れは脳の前頭葉が「自分はこれを知っている」とわかっているのに、側頭連合野から答えが返ってこない状態です。そこで粘って思い出すことができれば、ドーパミンが放出されて、脳の思い出す回路が強化されます。

そうやって思い出すことは、「自分の中を検索する」という行為です。私たちの脳内には、本人も意識していない膨大な記憶のアーカイブが眠っています。それを参照し、独自に想像・妄想する癖をつけることができれば、こんなに素晴らしいことはありません。

AIやコンピュータがあらゆる情報を記憶できる時代に、私たち人間が優位に立てるのは、独自の発想力や企画力、内から湧き起こる情熱だけです。そしてそれは私たち一人一人の体験と記憶のアーカイブに眠っているのです。

ぜひ、ご自分の脳が持つ潜在力を信じ、オリジナルの学びやアイデアに挑戦していってください。

(構成=三浦愛美 撮影=大崎えりや イラストレーション=前田はんきち)
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