算数の勉強は、確実に得点できる問題の数を増やすことだけに注力する。やるべきものは、これまでだいたい解けてはいたけれど、ときどき分からなくなってしまう問題やあと少し頑張ればできそうな問題だ。難しくて分からない問題は、手を出さなくていい。「あとちょっとで解ける問題」を「解ける問題」にすることができれば得点が上がるし、何より「解けるようになった」という自信がつく。自信がつくと、合格がイメージできるようになる。直前期に必要なのは、この「合格のイメージ」だ。

勉強している子供の手
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

9割の受験生がケアレスミスで失点している

一方で、不安も残る。ケアレスミスだ。きちんと問題を読み、落ち着いて計算をすれば解けた問題を、問題の読み飛ばしやつまらない計算ミスで間違えたことがあると、本番でもやってしまうのではないかと不安がよぎる。

だが、それはあなたのお子さんだけではない。実に受験生の9割が、そういったミスで失点しているのだ。だから、根絶するのは難しい。でも、減らすことはできる。問題を読み飛ばしやすい子には、問題を最後まで読む練習をさせ、計算ミスが多発する子には、この問題はどこから計算するのか聞いてみたり、答案用紙に書く場所や字の大きさなどを確認させてみたりするといい。そうやって、少しでも意識をさせると、本番で気をつけるようになる。

「そんな勉強していると、合格できないわよ」はNG

入試本番まで1カ月を切り、いよいよラストスパートだ。にもかかわらず、いまだ勉強を始めるまでに時間がかかったり、ダラダラ勉強をしていたりすると、「もっと本気を見せてくれ!」と言いたくなるだろう。でも、考えてみてほしい。相手はわずか12歳の小学生だ。遊び盛りの子供が遊びたいのを我慢して、高い目標に向かって挑戦しようとしているのだ。

親から見れば、「まだ頑張れる」「もっと頑張れる」と思うかもしれない。でも、本人にしてみれば、すでにもうかなり頑張っているのだ。だから、まずはその姿勢を肯定し、認めてあげてほしい。

「頑張っているね」
「その調子で頑張って」

たったこれだけの言葉を渡してあげるだけで、子供はうれしい気持ちになる。

ところが、なかなかやる気を見せないわが子に発破をかけようと、「そんな勉強していると、合格できないわよ」という言い方をする親がいる。こうした言葉を投げられた子供は、「こんな勉強をしている僕は、たぶん落ちるんだろうな」と思い込み、本番でも力を発揮することができずに終わる。