子どもの社会性は家庭で育つ

不登校の現場では、子どもの社会性を心配される方もいらっしゃいます。家で好き勝手に過ごして、話す相手は親だけ。これでは社会性が育たないんじゃないか。そう悩まれる方が多いんですね。

学校や塾に行って、集団の中に身を置けば社会性が育つと思われがちです。でも、社会性の基盤は親子関係にあると思います。

親子の間で話をしたり、信頼関係を構築したり。人というのは親子関係で培ったものをベースに家庭の外で振る舞うので、「社会性は家庭の中で十分に育つ」というのが、不登校の現場での見解です。

これは、小学校中学年のお子さんのお母さんに聞いた話です。お子さんは、図書館や児童館に行くことが多かったので、お母さんは「うちの子は不登校なので、こちらにおじゃますることがあると思います。何かあればご連絡ください」と事情を説明しに行ったのだそうです。すると、図書館の方から「お子さんから聞いていますよ」と言われたというんですね。

石井志昂『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ新書)
石井志昂『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ新書)

「今の学校教育が合わないのでホームスクールというのをしています」。そう説明していたそうです。

子どもが家の中で親に見せる顔と、外で見せる顔はけっこう違います。彼のケースは、家庭の中で社会性が育っているとてもいい例だと思います。

お母さんは、ひとりの小さな大人として彼を信頼し、日中の行動を彼にまかせています。まかされた子どもには責任感が生まれ、活動的になっていきます。

逆に、「お兄ちゃんはもっとがんばっていたよ」などと、きょうだいや友だちと比べるような視点からものを言われてしまうと、社会に出たときも自分と他者を比べて苦しくなってしまうと思います。

社会性の原点は、親子関係にある。そう言っていいと思います。

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