今、売れ残りの不動産物件が多く「買い手市場」と言われていますが、購入希望者は必ずしも「優良物件」を掘り当てられるとは限りません。その一因は、物件探しをパソコン検索だけに頼る傾向が強くなっているからでしょう。クリック一発でいい情報ゲットとはいかないのが現実です。

情報収集は手始めに、圧倒的な情報量を誇る紙媒体から始めるといいでしょう。「週刊住宅情報」などの掲載物件の資料をハガキで請求します。大手デベロッパーの場合、「◯◯友の会」といった会員を募集していて、購入希望予定者向けに案内資料を定期的に郵送してくれます。もちろん、無料です。それらを比較検討するなどして、不動産物件選びのリテラシーをしっかりと高めましょう。

それに続き、インターネットの力を借ります。不動産業者は現在、ネット情報の発信にかなり積極的に取り組んでいます。情報誌より速報性もある。昼はオフィスの休み時間に、夜は自宅のパソコンから、情報収集するといいでしょう。

しかし、特に中古物件ではなかなか優良物件には巡り合えません。この後が最も重要なステップです。希望するエリアの不動産屋さんを各駅2件は回るのです。自分の足で実際に歩いてみる。私の長年の経験から言えば、「いい情報は店頭にだけある」のです。キラリと光るネタは残念ながらネット上には掲載されないのが業界の常識でもあります。

地元の不動産屋さんを回り、情報が常にもらえる業者を最低5件は確保したいですね。その際、自宅のファクス番号入りの名刺も作成して渡します。加えて希望物件の概要書もこの名刺に添えて持参すると先方に熱心さが伝わります。不動産屋さん通いをしていると、次第に顔見知りになります。やがて長期的なお付き合いに発展し、優良情報をもらえるのは、3件程度でしょうか。

そこから少なくても20件の物件情報をもらい、とにかく場数を踏むようにします。そうすれば、いい物件と悪い物件の見分けがしっかりつくようになる。とにかくより多くの物件を見ると、見る目が肥え、プロ顔負けの目利きになれます。

足を使った情報収集はいかにもアナログですが、これが優良物件を得る近道です。これは昔も今も変わらぬ鉄則です。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=大塚常好 撮影=宇佐見利明)