Q 倍率が上がりそうな学校、難化しそうな学校は?
A 21年度の受験では、新設された広尾学園小石川をはじめ、一部の学校に受験生が集中する結果になった。
「広尾学園、三田国際学園といった共学進学校グループは、以前は国際系ブームという扱いでしたが、今や“御三家”“難関大付属”といったような中学受験トップ校の一つとして定着したと言えます。22年度から校名を変えて募集が始まるサレジアン国際学園や千代田国際にも、注目が集まっています」
そう語るのは、進学塾「VAMOS」代表の富永雄輔さんだ。
「もう一つ、人気が高止まりになっているのが大学付属校です。早慶付属だけでなく、GMARCHの付属も偏差値が高止まり。手厚く進学指導をしてくれる日大付属も偏差値が上がってきています」(富永さん)
男子では日大豊山、獨協、女子では実践女子学園、山脇学園といった伝統校も人気が高まっている。
「面倒見の良い教育をしているわりに、比較的入りやすかったこれらの学校に、近年注目が集まっています。2年ほど前から倍率が上昇傾向にあります」(後藤さん)
倍率が上がると、偏差値通りの結果が出るとは限らないのが、中学受験の怖いところだ。
「2月3日以降で定員が少ない学校は、倍率が突発的に上がりやすい傾向にあります。21年の2月4日入試の実践女子学園は7.7倍、獨協は6.2倍でした。大きく倍率が上がると、当日に極めて調子が良かった子しか合格できなくなります。偏差値が低いからといって、安全校に設定するのは危険です。2月2日までに1校は合格を取っておける受験スケジュールを心掛けてください。2月6日以降に受けられる学校も、念のため調べておくことをおすすめします」(後藤さん)
Q 今から受験校を追加する場合のコツを教えて。
A 新型コロナの影響で、対面の学校説明会やオープンスクールなどを控える学校が多かったこともあり、学校の様子を十分に知ることができなかった受験生家庭も多いだろう。
「直前になって受験校を追加したい場合、①ホームページをはじめ、学校が発信している情報などをよく見て、校風や教育方針などをチェック、②希望の部活の有無、通学時間、留学制度の有無など、絶対に譲れない条件を確認し満たさない学校はリストから外していくという手順がおすすめです」(小川さん)
富永さんは、過去問との相性と試験日程を考慮してほしいと語る。
「学校の向き不向きを知るには、まず過去問を解くこと。特に国語の問題は相性をはかりやすいです。何度か解いているうちに点が上がってくるようなら、相性が良い学校と言えるでしょう。また、午後入試の積極的な活用も視野に入れてください。午後は安全校ととらえがちですが、実はちょっと難しい学校にチャレンジするいい機会でもあります」