企業内の人的資本の蓄積はメンバーシップ型が有利

今後求められるビジネスのイノベーションは、メンバーシップ型のほうが生まれやすいとみることもできます。今後はAIで代替できない「ホスピタリティ」「マネジメント」「クリエイティビティ」の3つの仕事の重要度が増すことは必至です。

サービスやソリューションも、ますますソフト化していきます。そのとき、物量で中国に負ける日本では、既存技術の上手な使い方を思いつくことや、既存のリソースを使って何ができるかを突き詰めることが、イノベーションを起こす近道となるでしょう。

しかし、社内の暗黙の情報を共有し、誰がどこで何をしているかがわかっていて、あうんの呼吸のような連携が取れる状態になければ、それを実現することは難しいのです。

誰と連携するか、誰と誰を一緒のチームにすれば、能力を補完し合ってチームが回りやすいのかといった、企業内の人的資本の情報の蓄積は、従来のメンバーシップ型のほうが容易にできる可能性があるのです。

また、従業員間の教え合い、助け合いもメンバーシップ型のほうが活発化する傾向があるようです。

ビジネス人材
写真=iStock.com/SunnyVMD
※写真はイメージです

中間管理職以下は人的ネットワークの活用が不可欠に

一方で、役員など上級管理職はジョブ型で公募するほうが、経営人材の流動化などの意味でも適当ではないでしょうか。「上級管理職ほどジョブ型で」が日本経済復興の処方箋です。

なお、ジョブ型への転換が一定以上進むなら、中間管理職以下の人は同じ職業、趣味、同窓のつながりなどを大切にし、メンバーシップ型で培われていた人的ネットワークを各自で補填する必要があります。

大学の機能としての同窓会の役割が大きくなってくるかもしれません。

(構成=奥田由意)
【関連記事】
「お金が貯まらない人は、休日によく出かける」1億円貯まる人はめったに行かない"ある場所"
「私はチームを束ねた」社内公募に何度応募してもお呼びがかからない人の"面接回答"
「あの人は大手から来たからね」と転職先でひんしゅくを買う"大手出身者"の典型的な口癖
月100万以上稼ぐコンサルが「稼ぎやすく成功しやすい」と結論づけた副業選びの最適解
25歳で会社を辞めて"人生の夏休み"を取った僕が台湾に行き着いたワケ