あなたが住みたい家の基準で買う必要はない
ボロ戸建て投資に向き合うにあたり、必ず意識してほしいマインドについて説明します。ぼくは不動産業界で3年ほどサラリーマンとして働いた経験がありますが、そこで体感したのは「日本人は本当に新築が大好きだな」ということでした。
たとえば、アメリカやイギリスの住宅市場では、流通している物件のおよそ8割が中古住宅です。日本ではこの正反対で、新築住宅のほうがだんぜん需要があります。2018年に行われた総務省の調査によると、全住宅流通量における中古住宅の割合は、たったの14.5%。欧米諸国に比べて日本では圧倒的に、中古よりも新築のほうが好まれていることがわかると思います。
この数字だけを見ると、これからボロ戸建て投資にチャレンジしようとする皆さんにとって不利に感じるかもしれませんが、そうではありません。新築好きな日本人にとっては、築年数が10年以上経ってしまうと、すべてまとめて「築古」のカテゴリーに入ります。
ということは、何が起きるでしょうか。極端な例ですが、ちょっと新しい500万円の物件と、古い100万円の物件があるとします。そこに住もうとする日本人にとって両者の印象は、ほぼ変わらないということです。そして得られる家賃もそんなに大差はありません。だったら100万円の物件を買って貸し出すほうが賢いでしょう。
自分の物件ならではの価値を見出そう
ここでマジメな皆さんは疑問に思うでしょう。「100万円の物件なんてダメ物件じゃないの? 本当に人に貸し出していいの?」と。大丈夫です。不動産業界で働くなかで、「ここに? ほんとに? 住むの? マジかよ……」という案件を、ぼくはこれまでたくさん見てきました。
つまり、ボロ物件を選定するときに勘違いしないでほしいのですが、その物件に住むのは皆さんではありません。ボロ物件に住む人には、別の価値観があります。ですから、選定の際には「どんな人ならここに住みたがるか」を考える必要があります。そうすれば、自分の物件ならではの価値を見出して、周辺相場を気にせずに値付けができるようになります。さらに、しっかり客付けもできます。具体例をお話ししましょう。
ぼくが所有している物件の中でも、一、二を争う稼ぎ頭になってくれているのは、茨城県にある1LDKの戸建てです。最寄りの駅からだと徒歩1時間40分という、へんぴなエリアにあります。そんなスペックにもかかわらず、ここを7万8000円で貸しています。おそらく競合物件の家賃相場の倍くらいです。