ケンカをした子どもにかける言葉

あなたの子どもが友だちとケンカをしました。どんな言葉をかけますか?

すでに説明したように「仲良くしなさい」では、子どもの自立心は育ちません。「もうあの子とつき合うのはやめなさい」も同様です。こういう言葉を何度もキツく繰り返せば、親の価値観に従うか、反発するかの二択になり、それが子どもの性格(ライフスタイル)を形成します。

最初は目的論を用います。

まず自分に、子どもをどんな人物にしたいのか。そのために何を伝えたいのかと問いかけます。次に、子どもがケンカをした相手とこれからどうするのかを決めます。それを決めるのは、親ではなく、子ども自身です。

公園の砂場でシャベルをめぐってけんかが勃発
写真=iStock.com/Zabavna
※写真はイメージです

ここからは主観主義で、子どもと一緒に考えていきます。

「あっちが先に叩いた」

「それは嫌だったね。痛かった?」と子どもの関心に関心を向け、共感します。

「おもちゃくらいでひどいよ。ちょっと借りただけなのに」

「そうだね。あの子はどんな気持ちだったんだろうね」とケンカをした友だちにも主観主義を使い、相手の立場に関心を向けるように促します。

「いきなり取られたと思って、怒ったのかもね」

「ああ、そうか。あの子は横取りされたと思って嫌な気持ちになったのかもね」とお互いの立場が確認できたら、子どもの希望を聞きます。

「どうしたい?」
「うーん。おもちゃは借りただけだよって話してみる」

こんな流れでやりとりをすると、叩いた側の気持ちも、自分の気持ちもわかり、折り合いをつけられます。

「宿題をやりなさい」と言う前に

折り合いとは、自分は自分の価値観で「こうしたい」、あの人はあの人の価値観で「そうしたい」を互いに対等な関係で認め合ったうえで、双方が納得できる解決策を見つけることです。

ですから「宿題をやりなさい」と言ってしまう前に、まず目的論を用いて「何のために私は子どもに宿題をしてほしいのだろう」と自問しておくといいでしょう。「お母さんに言われたから宿題をやる」ということが、子どもの自立につながるだろうか、人生にとってプラスになるか、それともマイナスになるかを考えれば、答えは自ずと出るのではないでしょうか。

そして、それは子ども自身の望んだ目的ではありません。ですから「お母さんは、あなたにこんな子になってほしいと思っている」と話して、子どもと親双方が納得できる宿題の取り組み方、勉強の仕方を決めるのもいいでしょう。

「遠回りで面倒だ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、こうしたやりとりで自立と協力が身についた子どもは、どんどんスピーディにさまざまな問題を解決していけるようになります。