2028年までの中国開催が決まっているが…
多額のチャイナマネー投入に加え、深圳市内に1万2000人収容の新たな会場建設を約束。こうした“誘致活動”が奏功し、深圳は同時に手を挙げていたシンガポール、マンチェスター、プラハ、サンクトペテルブルクなどの競合を退け、10年間におよぶ「WTAファイナルズ」の開催権を獲得した。
2021年のWTAファイナルズはコロナ禍の影響でメキシコのグアダラハラで代替開催となったが、契約上は2028年まで深圳で行われることが決まっている。中国側の対応によっては、今後7年分の開催地の見直しもありえるだろう。
※編集部註:初出時、WTAファイナルズの大会名について認識に誤りがありました。当該箇所を削除します。(12月14日15時30分追記)
最大スポンサーの一つが「ロゴを大会から外したい」
スポーツの大型大会では、スポンサーなどとともに放映権料の問題がついて回る。東京五輪を開催すべきかどうかの論議が進んでいた頃、筆者は6月23日の記事<「東京五輪の広告収入は過去最高」IOCが絶対に五輪開催をあきらめないワケ>で、国際オリンピック委員会(IOC)と五輪独占放映権を持つテレビ局「NBC」が巨額の金銭契約を結んでいる実態を書いた。それほどまでトーナメントの収入を左右するものは放映権料といっても過言ではない。
「WTAファイナルズ」中国大会では、放映権は地上波TV局ではなく、中国版ネットフリックスの異名を持つiQiyi(愛奇芸)が獲得。iQiyiはもともと、4社しかいない最上級の「グローバル・オフィシャル・パートナー」の1社で、同社が大会スポンサーとしても最大の広告料を拠出している。
ところが、WTAと中国側との問題が勃発したことを受け、iQiyiはサイモンCEOが中国での大会全面中止を発表するよりも前に「スポンサーとしてのロゴバナーを大会サイトから外してほしい」とWTAに要望したという。同社は、WTAとの間で2017年から10年間の放映権契約を締結済みで、これまでに2000以上の女子テニスの試合を中国で放映している。