現在、群馬県伊勢崎市で天台宗の寺の住職を務める髙橋美清さん(57)は、かつてフリーのアナウンサーとして活躍していた。髙橋さんは、なぜ出家し、僧侶になったのか。その陰には、ストーカー被害と壮絶なネット上の誹謗中傷があった――。(前編/全2回)
天台宗照諦山心月院尋清寺の住職、髙橋美清さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
天台宗照諦山心月院尋清寺の住職、髙橋美清さん

「お坊さん」に憧れた少女

群馬県の冬の風物詩で、「上州のからっ風」「赤城おろし」の名で知られる北西風が、ものすごい音を立てて建物を揺らしている。ここは、2020年に群馬県伊勢崎市に建立された新寺「天台宗 照諦山 心月院 尋清寺」。住職を務める髙橋美清さんは、かつて「髙橋しげみ」の名で競輪のテレビ中継でメインキャスターを務めていた元アナウンサーだ。

子どもの頃は表に出ることが苦手なタイプ。いつも誰かの陰に隠れていた。母の実家は寺で、祖父と曾祖父は天台宗の僧侶。髙橋さんが8歳の時、茨城県にある寺で祖父の晋山式(住職になる儀式)が執り行われることになり、少女はその光景に心を奪われた。