それは、リーマンショック後の世界同時不況を経験して、日が経っていないことから、EUの財政危機が第二のリーマンショックとなって、世界同時不況が繰り返されるのではないかと懸念されていることの表れである。

EU各国の財政収支(IMF推計)の状況は、深刻である(表2)。すでにEUと欧州中央銀行(ECB)とIMFのトロイカによって金融支援を受けているギリシャの財政赤字の対GDP比は、10年に10.4%、11年に8.0%、12年に6.9%となる見込みである。また、同じくトロイカによって金融支援を受けたアイルランドでは、10年に32.0%、11年に10.3%、12年に8.6%となる見込みである。さらに、同様に金融支援を受けたポルトガルでは、10年に9.1%、11年に5.9%、12年に4.5%となる見込みである。

このように、EU各国の財政赤字は巨額となっていて、そのソブリン・リスクの高まりが国債利回りに反映されて、11年秋には急騰した。これらの3カ国のほかに、とりわけ、イタリアにおけるソブリン・リスクの高まりは顕著であり、イタリアの財政危機の影響を受け、ベルルスコーニ前首相が11月12日に辞職し、モンティ新首相に交代した。