違法な高利貸しが復活する可能性も
今年2月の通知の第3項には、「ネット世論対策」という消費者金融問題とは一件無関係な内容が盛り込まれている。
「大学生のネット消費者金融に関する、悪意ある誇張報道やデマについては、関係当局が主体的に発言し、真相を明らかにすることで、良好な世論環境をともに構築する」というもので、学生が食い物にされているとの報道や噂が政府批判につながらないようにとの意図が透けて見える。
金融リテラシーの不足で多重債務者に陥るのはなにも大学生に限った話ではないが、ニュースになりやすい大学生だけは対策するというのが、ネット世論に過剰に配慮する中国らしいところだろう。
フィンテック規制によって、今までのように簡単に借金や月賦払いはできなくなる。借金地獄に陥る学生の数は減るだろうが、一方では以前のような違法な高利貸の復活につながりかねない。
親の不幸などなんらかのアクシデントで突然金が必要になることもあれば、モノが欲しいと誘惑に駆られることもあるだろうし、そうしたカモを食い物にする闇金業者も消滅することはない。むしろ、フィンテック企業から金が借りられないため、悪質な業者に頼る学生が増える可能性もある。
学生と借金、この問題はそう簡単に消えることはない。