――ビジネスリーダーにキュレーションの価値を問われたら?

おたくの社員の一人ひとりが朝、50本ものブログを読んで、業界の最新情報を集めているとしたら、それは無駄だと思いませんか、と言うでしょう。全員が同じウェブをフィルタリングして同じような情報を抽出するのは非効率です。すでに誰もが情報の洪水で溺れそうになっていて、その状況はさらにひどくなっています。

実際、社員全員がすべての最新情報を自分で集める必要はありません。だれかが「今日読むべき業界情報トップ10」を社内向けのニューズレターを出せばすむのです。これがキュレーションです。見落としている情報があれば、全員にメールするのではなく、キュレーターに送って翌日のメールに追加してもらえばいい。

――チーフ・キュレーション・オフィサー(CCO)のような人を置いたほうがいいということですか?

いえ、キュレーターは複数いたほうがいいと思います。一人に集中させると、その人が辞めたら会社の「視点」が失われてしまいます。キュレーターは商品別、カテゴリ別に、置くとよいでしょう。そのほうがキュレーション業務そのものも負担になりません。毎朝30分程度、それぞれの分野をキュレーションして情報交換するのです。これはコミュニティーでキュレーションするとうい新しいやり方です。

――自分自身のためにキュレーションするためにはどのようなトレーニングが必要ですか?

私の例でお話ししましょう。私は日に500通ほどのメールを受け取っています。スパムではなく、読んで返事をして分類しておかなくてはならないメールが500通です。すでに管理不能な状態になっています。600通になったらもう無理です。そこで必要ないメーリングリストやニューズレターを解約することにしました。もう「面白い」「興味深い」と思えなくなったものはすっぱりとやめる。

リンクトインとフェイスブックもきっちり使い分けています。リンクトインは仕事、フェイスブックはプライベート。家族の写真などはフェイスブックにしかアップしない。情報ツールを使いこなすことがまず必要です。情報について「峻別する」という意識を常にもつことを心がけることです。