標準報酬月額の一覧
日本年金機構「保険料額表(令和2年9月分~)」より

標準報酬月額は、社会保険料を簡単に計算するための金額のこと。毎年4月から6月の給与平均額を、この表の「報酬月額」に当てはめることで標準報酬月額がわかり、さらに納める厚生年金保険料がわかるようになっています。

たとえば、4月から6月の給与平均額が25万円の方の場合は、「17等級」に該当するので、標準報酬月額は26万円とわかります。厚生年金保険料の金額は、勤務先と折半になりますので、標準報酬月額の9.15%、26万円×9.15%=2万3790円とわかります。

先ほどの年収400万円~1500万円までの方の標準報酬月額を見てみましょう。給与平均額を報酬月額に当てはめ、標準報酬月額を見てみると、次のようになります。

年金額は「等級」で決まる

年収別の等級と標準報酬月額
筆者作成

年収400万円から500万円にアップすると、標準報酬月額の等級が3つ変わります。それに対して、年収750万円から年収1500万円にアップしても、標準報酬月額の等級は1つしか変わらないのです。

実は、標準報酬月額の上限は32等級までとなっています。4月から6月までの給与平均額が63万5000円以上の方は、すべて32等級となります。いいかえれば、年収762万円以上の方は全員32等級です。つまり、年収1500万円でも2000万円でも3000万円でも同じ32等級となり、同じ標準報酬月額となり、同じ厚生年金保険料を支払います。

改めて厚生年金の計算式を思い出してみましょう。「平均年収÷12×0.005481×厚生年金の加入月数」で、平均年収には標準報酬月額を利用するのでした。年収750万円の標準報酬月額は62万円、年収1500万円の標準報酬月額は65万円と、3万円しか違わないため、厚生年金の金額の差もわずか(月額6000円程度)となった、というわけです。

年金を増やすためにできる4つのこと

年収が高ければ、年金に頼らずとも自分でお金を貯めて、老後に備えることができそうです。しかし、年収が高いからといってお金が貯められるとは限りません。年収が高い人は生活レベルが高くて支出も多い、ということはままある話。

中には1000万円超の収入がありながら貯蓄ゼロというケースもあるのです。高年収の方であっても、老後資金を蓄え、年金を増やすためにできることは、次の4つです。

①60歳以降も働き続けて勤労収入を得る

今は希望すれば65歳までは働ける時代ですし、企業には70歳までの雇用が努力義務として課されています。60歳以降も働くことで収入が得られれば、その分お金にもゆとりができます。なにより、働くことが健康維持や社会とのつながりの維持にも役立ちます。

②70歳まで厚生年金に加入する

国民年金は原則60歳までしか加入できませんが、厚生年金は70歳まで加入できます。70歳まで厚生年金に加入して働くことで、「平均年収÷12×0.005481×厚生年金の加入月数」の「厚生年金の加入月数」の部分が増えますので、その分受け取れる厚生年金も増やせます。

③年金を繰下げ受給する

年金の受け取りは原則65歳から。これを66歳以降に遅らせることを年金の繰下げ受給といいます。1カ月受け取りを遅らせることで年金額は0.7%増額。70歳まで繰り下げれば42%、75歳まで繰り下げれば84%も年金額が増やせます(70歳以降の繰下げ受給は2022年4月から)。

繰下げ期間中は年金が得られないので、その間の生活費を用意する必要はありますが、年金の額を大きく増やせます。

④iDeCoやつみたてNISAを活用する

iDeCoは自分で掛金を出して運用し、その成果を原則60歳以降に受け取ることができる制度。iDeCoは、掛金を全額所得控除して所得税・住民税の負担を軽くし、運用益を非課税にでき、さらに受け取るときにも税金を安くできるのが特徴。税制メリットを生かして堅実に運用ができます。

つみたてNISAは金融庁の基準を満たす約200本の投資信託に積立投資する制度。毎年40万円までの投資の運用益を最長20年間非課税にできます。

年収が高くても老後資金は準備して

年収750万円と年収1500万円。年収が2倍になったとしても、年金額はほとんど変わらないことを紹介してきました。給与平均額が標準報酬月額の上限65万円に到達すると、それ以上給与平均額が上がっても受け取れる年金額は変わらなくなります。

年収が高い方には残念な事実ですが、いいかえれば、年収が高い方でも老後資金の準備は必要ということでもあるでしょう。老後のお金が不安ならば、公的年金・老後資金を増やす手立てを取り入れていきましょう。

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