「薄気味悪い」広告を減らしたいときはどうするか

バナー広告の「iマーク」を含めて、これらの対策は多くの場合ひっそりと行われる。これらは、何か問題が起きたときに「確認をしていないユーザー」に責任を転嫁できるしかけでもあるからだ。だからこそ、わたしたちユーザー自身がこのような機能を積極的に活用し、自身のデータがどのように使われているのか確認していくことが重要である。

「iマーク」だけでなく、Googleの「アカウントページ」に行けば、自分の情報がどのように広告に結びつけられているかを調べ、不要なものは拒否したり削除したりすることもできる。たとえば、「広告のカスタマイズ」自体を「オフ」にすれば、行動履歴による広告表示を停止することができる。ただし、この場合は一般向けの広告が表示されるようになるため、関心のない広告でも個別にオフにすることはできなくなる。

不快な広告をなくすには、関心のないジャンルや、好みでない広告主の広告をひとつずつオフにする作業が必要だ。筆者の画面例の場合でいえば、「Apple iOS」の広告を見たくなければ、この画面で「Apple iOS」をクリックして「オフ」にすることで、90日間関連する広告を見なくて済むようにできる(90日経たなくてもオンに戻すこともできる)。面倒ではあるが、このようなチェックを行うことは自身のデータがどのように追跡されているのかを自覚するきっかけにもなるし、「薄気味悪さ」の軽減にもつながるだろう。

筆者がログインしたGoogleアカウントページの広告設定画面(画像提供=宇田川敦史)
筆者がログインしたGoogleアカウントページの広告設定画面(画像提供=宇田川敦史)

「プライバシー」依存の広告を暴走させないために

無料なのが当たり前とされてきたインターネットサービスにも、サブスクリプション方式やフリーミアムモデルなど、さまざまなビジネスモデルが導入されつつある。たとえばYouTubeはサブスクリプション方式で広告を削除できる「YouTube Premium」を導入したが、「広告削除機能を宣伝する広告がTV CMで流される」という笑えない矛盾も起きている。

「無料で便利だから、とりあえず使い続ける」ことから抜け出し、「対価を支払うにふさわしいサービスを選別する」視点をもちたい。無料であってもその対価として支払っている「プライバシー」の価値は決して低くはない。

まずはユーザー自身が「プライバシー」の価値を自覚し、一人ひとりがその所有権を主張していくことが重要だ。アカウント管理のしくみは、ある意味プラットフォームが自己弁護のために用意した機能だが、積極的に活用すればユーザー自身のデータを一定程度管理することができる。

このような機能の利用者数や利用頻度が増えていけば、プラットフォームの側もその必要性を無視するわけにはいかない。「プライバシー」に依存した広告の健全性を回復し、収益重視の姿勢に歯止めをかけていく一定の「圧力」を加えることができるのだ。

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