何気なく目にしている広告が実はグーグルによるもの

私たちはGoogleを頻繁に利用しているにもかかわらず、多くの場合その収益の仕組みがどうなっているかは意識されていない。Googleの広告には多数の種類があるが、ここでは特に目にすることの多い「ディスプレイネットワーク」と呼ばれるバナー広告について考えてみたい。

プレジデントオンラインのバナー広告の例。筆者が広告部分を加工した(画像提供=宇田川敦史)
プレジデントオンラインのバナー広告の例。筆者が広告部分を加工した(画像提供=宇田川敦史)

Googleに限らず、ウェブページにはさまざまな広告が掲示されている。特に長方形や正方形の画像を使った図のようなタイプの広告は一般に「バナー広告」とも呼ばれ、もっとも頻繁に目にするネット広告といってもよいだろう。実際、このプレジデントオンラインの記事中にもバナー広告が差し込まれている。

この広告、実はプレジデント社と広告主が直接契約したものではない。バナー画像の右上をよくみてみると、小さなiマークがあり、iマークをクリックすると「Ads by Google」などと書いてあるのがおわかりになるだろうか。まさにこのバナー広告が、Googleの「ディスプレイネットワーク広告」である。

行動履歴を追いかけてくるクッキー広告のカラクリ

さて、今みなさんの端末上にはどんな広告が表示されているだろうか? もしかしたら、最近検索していた商品や、関心の強い分野のサービスなどが表示されているかもしれない。この広告は、プレジデント社が指定して掲載しているのではなく、Googleの契約に基づいて、Googleのアルゴリズムが選択して掲載しているものだ。

その基本的な仕掛けはこうである。

Googleは、プレジデントオンラインのような広告掲載先との契約を多数結んでいる。一方でGoogleは、広告主となる商品メーカーや、販売をするECサイトなどとも広告出稿の契約を多数結んでいる。それぞれのウェブサイトでは契約に基づき、「クッキー」というブラウザー識別の仕組みが共通化され、それぞれのサイトでのユーザーの行動履歴がGoogleのデータベースに蓄積されている。

たとえばあるユーザーが自動車メーカーの広告主Aのサイトで、新発売の車種Xの情報を見たとする。その車種Xのウェブページからは、クッキーを介してこのユーザーが車種Xのページを閲覧したという履歴がGoogleに送信される。

次に、同じユーザーがGoogleと契約した広告掲載先のサイトを訪れると、Googleはクッキーによってそのユーザーを識別し、以前に閲覧した商品の情報を基に広告主Aのバナー広告を優先的に表示する。ユーザーがその広告をクリックすると、広告主Aにクリック数に応じた広告料が請求される仕組みになっている。