皇族が減ったのだから、公務も減らすべき

このように考えてみると、皇室の仕事の中でも、天皇の国事行為や皇室会議など、憲法・法律で明確に決めているものは変えられないとして、それ以外の天皇や皇族の公務はできるだけ減少させるか、極論すればすべて廃止しても、別に弊害はないことになります。

各地の文化やスポーツ行事や被災地に皇族が顔を出すことがなくなれば、寂しい思いをする人はいるかもしれません。ただ、特にそれによって困るわけではありません。

国事行為などの法的に明確に定められた職務だけであれば、皇族が減っても別に心配はないのです。公務を続けるだけのためにわざわざ「女性宮家」や「皇女」などを創設する必要はないことになります。

「女性宮家」「皇女」の制度をあわてて作る必要はない

「女性宮家」は、女性皇族が男性と結婚しても皇室にとどまるようにするというものですが、夫の男性および生まれた子の地位をどうするかについて問題があります。

さらに、このような制度を作ることは、女性皇族が結婚しても一般人になれなくなるということを意味します。

今でさえ、佳子内親王が「私がいいなと思う人がいても、いざ付き合いそうになると、いつのまにかいなくなってしまうの」と語ったという記事が週刊新潮(2021年9月23日号)に掲載されたほどです。女性皇族がますます敬遠されて結婚しにくくなってしまう可能性が生じます。

一方「皇女」制度というのは、もはや皇族ではなくなって一般国民になった元女性皇族の人に「皇室の公務」(何度も言ったとおり、なくても特に国民が困るわけではない)をやってもらうというのですが、もはや根本的に矛盾した発想であり、非常に無理があると思われます。

そもそも法的には一般国民になっている元皇族女性に「皇室の公務」をやらせて良いというなら、天皇や皇族もすべて法的には一般国民で良いという理屈も成り立つでしょう。「皇女」どころか天皇も皇族も、みんな普段は一般国民として生活して、重要な儀式や行事の時だけ招聘しょうへいして「皇室の公務」をやってもらえれば良いということになるのではないでしょうか。

このように考えるなら、「女性宮家」「皇女」のような制度をあわてて無理に作るよりも、まずは皇室の公務そのものを減らしていくことを最優先で検討するべきと思われます。