販売業者のモラルが大きく問われている

読売社説は販売業者に対し、「必要な装備がないと一般の道路を走れない商品なのに、十分な説明をせずに売っている業者もいる。留意事項の記載や説明を必ず行うようにしてほしい」と求める。

儲かればそれでいいではすまない。時速15キロ以下としても、不意に衝突されれば大きな事故になる。まずは販売の際に運転免許がいることなどをきちんと伝えるべきである。販売業者のモラルが大きく問われている。

読売社説は「警察庁は現在、歩道走行は引き続き禁止するものの、年齢制限を設け、時速15キロ以下なら免許やヘルメットがなくても運転できるようにする方向で検討している」と書いたうえで、こう主張する。

「日本で免許を持たない人の運転を認める場合、安全がないがしろにされては本末転倒だ。事故が起きないようなルール整備と安全教育の充実が大切である」

利便性を追及するうえで遵守しなければならないのが安全である。安全教育なしに導入されるのでは危ない。小学校の授業などで交通マナーやルールを教え、その中で電動キックスケーターについても安全な乗り方を教えるべきだ。

「安全最優先の新たなルールが必要だ」と毎日社説

7月20日付の毎日新聞の社説も「電動キックスケーター 安全最優先のルール必要」との見出しを掲げ、冒頭部分で「これまで想定されていなかったタイプの乗り物だ。利便性とのバランスを取りながら、安全性の確保を最優先にした新たなルールが必要である」と主張する。

毎日社説は「課題も多い。免許がいらないとルールを軽視しがちになる。自転車を巡る現状が示している」と指摘し、こう書く。

「交通事故全体に占める自転車事故の割合は、近年増加している。昨年起きた事故の65%は自転車側に交通違反があった。歩道で歩行者と接触する例も後を絶たない」

自転車は減点対象となる免許証がないからどうしても違反が増える。

毎日社説は自転車の利用に対し、「まずは安全教育が大切だ。年代に応じ、さまざまな機会を捉えて実施する必要がある。違反の取り締まりも重要になる」と指摘するが、自転車も電動キックスケーターも同じだろう。安全教育と違反取り締まりをそれぞれ両輪に据え、少しでも事故を減らしてくことが求められる。

毎日社説は「増える通行車両に対応できるよう、自転車レーンの整備も進めるべきだ。これまで以上に路上駐車対策が不可欠になる」とも指摘するが、電動キックスケーターが自転車専用レーンを走行することになるのであれば、整備と増設はなおさら必要だろう。

さらに毎日社説は「体が不自由な人向けの電動車をはじめ、今後も新たな乗り物は登場してくる。自動配送ロボットなど輸送手段の開発も進んでいる」と書き、最後にこう主張する。

「限られた道路スペースを共有しつつ、それぞれの特性を生かす仕組みが欠かせない。そのためには自動車を優遇してきた道路政策から改めなければならない」

考えてみると、道路ほど私たちの生活に密着したものはない。それにもかかわらず、車社会の中で自動車の優遇が図られてきた。これからは毎日社説が書くように輸送や移動の手段も多岐にわたる。都市計画の整備や道路交通法の改正など道路政策の改善が求められるのは当然だろう。

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