子どもがスマートフォンを手放さない時、親はどう対応すればいいのか。ジャーナリストの石川結貴さんは「『どうしてやめないの?』と理由を聞いても親子ゲンカになるだけ。スマホ問題を解決するには、理由ではなく『気持ち』を聞いてみてほしい」という――。
※本稿は、石川結貴『スマホ危機 親子の克服術』(文春新書)の一部を再編集したものです。
子どもとの会話で理由ばかり尋ねていないか
親は子どもと会話するとき、つい事象を取り上げる。たとえば「数学のテストは何点だった?」と尋ね、子どもが「70点だよ」と答えると、「じゃあ次は80点目指してがんばりなさい」、そんなふうに点数という目に見える事柄に対して評価する。
「宿題をやったの?」、「ご飯を食べたの?」、「明日の学校は何時に終わるの?」、「友達とどこへ遊びに行くの?」、「なんでお母さんの言うことが聞けないの?」といった日常会話も同様で、実のところ会話というより事象の確認作業と、それに対する評価を伝えて終わりがちだ。
むろん確認や評価はあっていいのだが、それだけでは子どもの気持ち、あるいは子どもなりの事情がわからない。それこそ数学のテストで70点だったとき、その結果がうれしいのか、悲しいのか、くやしいのか、ホッとしたのか、子どもなりの気持ちがあるだろう。
これまで取材した子どもたちから数多く聞かされたのが、「親は理由ばっかり」という言葉だ。「なぜ勉強しないの?」、「どうして真面目にやらないの?」、「何時間もスマホを使う理由は?」というように、親からは問題の理由や原因を尋ねられる。
一方の彼らは「そう聞かれても困る」とか、「うまく返せなくて、もっと怒られる」などと戸惑いを見せるのだ。