子どもに暴言を吐かれた時はどうしたらいいのか
取材する親たちからしばしば聞くのが、「子どものスマホ利用を注意したら、暴言を吐かれた」という悩みだ。「うっせぇーよ、ババア、死ね」、「てめぇは黙ってろ」、「ったく、うぜえんだよ」、そんなふうにひどい言葉を浴びせられたと訴える。
「それでどうしたんですか」と尋ねると、「私も頭に来たので思いっきりキレました」とか、「親子で罵り合いになって、もう少しで暴力沙汰でした」とか、怒りと失望の混じった言葉が返ってくる。
我が子に「死ね」と言われてキレたくなるのも無理ないが、いくら罵り合ったところで問題は解決しない。それよりも「死ね」と言われたときの親の気持ち、悲しい、つらい、腹が立つ、驚いた、情けない、そういう感情の言葉を伝えてみてはどうだろう。
子どもに気持ちや事情があるように、当然ながら親にもある。それを素直に吐露してみると、これまでとは違ったコミュニケーションができるようになる。
「死ね」と言われたら、「そう言われるとは思わなかった。お母さんは悲しいよ」と返してみる。あるいは「母親に向かって『死ね』と言うとき、どんな気持ちになるの?」と子どもに尋ねてみてもいい。
親子げんかを避けるには「自分の気持ち」を伝える
オンラインゲームやSNSに熱中する子どもに「どうしてやめられないの?」と説明を求めるよりも、「やめられない様子を見ていると不安になる」、「最近は口もきいてくれないから寂しい」、「もしも困っていることがあるなら、ちょっとでも話してもらえるとうれしい」、そんなふうに親の気持ちを伝えると、おそらく一方的に責めたり、互いに罵り合ったりするようなことにはならない。
多くの親が「子どもの気持ちを知りたい」、「子どもが何を考えてるのかわからない」などと言うのだが、そもそも子どもの気持ち以前に親としての「自分の気持ち」を忘れてはいないか。
ひっきりなしにスマホを使う、注意しても通じない、いつも不機嫌、やたらと反抗的、そんな子どもに対する自分の寂しさや悲しさに気づいてみると、オンラインゲームやSNSを「やめさせたい」のは自分が不安だからだ、そう別の視点が現れる。
子どもに向けて「バカだ」、「人生終わるよ」と責めるだけでなく、「お母さんは悲しくなる」、「お父さんにできることがあるなら教えてもらえるとうれしい」と素直に伝えることで、次につながる関係性が生まれていくように思う。