3億円が当たる確率を、東京ドームで考える
では、戻ってこない158円はどこに行ったのでしょうか。そこから宝くじにかかわる仕事をしている人のお給料や宝くじ売り場設営費用、それにもちろん税金として日本の国の予算にもなり、慈善事業の一環で車いすや自動車になったりするわけです。
ところで、宝くじの当選金の表をもう一度見てみましょう。
宝くじの当選金は8種類。そこには、「1千万本」に1本しかない3億円と、2本しかない1億円2本が含まれます。
要は8種類中2種類が「○億円」というわけです。なんとなく「親近感」がありますよね。さすがに「夢を与えるラインナップ」です。
では、どれぐらいの確率で3億円が当たるのか、少し考えてみましょう。
みなさんは野球場に行かれたことがあるでしょうか? 観客で満員の野球場に行って、「うわー、こんなにたくさんの人がいるのか!」と驚いた経験はありませんか?
仮に東京のど真ん中、水道橋にある東京ドームを考えてみましょう。実は筆者は阪神タイガースのファンなので別に阪神甲子園球場でもいいのですが、本稿の編集の方と初めて顔合わせをした思い出の地が東京ドームのすぐ近くだったこともあり、ここでは東京ドームにしたいと思います。
満杯時で東京ドームの観客数はざっくり5万人です。満員の観客席を見ると「こんなにたくさんの人がいるんだ!」と感動します。そんなすごい人数です。
よく考えるとロマンがあり、悪く考えると「まず当たらない」
さて、宝くじの3億円は1000万枚につき1枚ですから、東京ドーム200個分、ということになります。仮に東京ドームで野球の試合を1年間に70試合、毎試合が満員だとして、3年間の全試合の入場者が1000万人ぐらいになる計算です。
この1000万人のなかでたった1人が3億円当選するわけです。要するに東京ドームで行われる野球の試合3年間のチケットが仮に宝くじとするならば、そのうちのたった1枚が3億円当選者、というわけです。
……まあ、当たらなさそうですよね(笑)。
では次に、300円の宝くじが3億円に化けるというのはどれぐらいすごいことなのでしょうか。
3億円÷300円=100万倍
ということです。これがどういう数字なのか、少し考えてみましょう。
仮にチケットの厚さを0.1mmとして、そのチケットがどれぐらいの分厚さになると思いますか?
0.1mm×1000000=100000mm=100m
すなわち0.1mmのチケットが100mの高さになるということです。野球でいうと、ホームベースから両翼(レフトとライトのポール)までの距離がちょうど100mなので、チケットの薄っぺらい紙の厚さが、野球場サイズの分厚さになるということです。
どれほどすごいことでしょうか。
宝くじとは、そういうものです。よく考えるとロマンがあり、悪く考えると「まず当たらない」のが宝くじです。
平均的に300円のうち142円が返ってくるとはいえ、実際には当たった一部が、多くの額を独占するわけですから。