「ラムネ瓶の玉はビー玉ではなくA玉である」。ネット上にはこんなデマを信じる人が多い。なぜしぶとく残り続けているのか。フリーライターの赤木智弘さんは「盛り上がればいいと思って、真偽不明の雑学をばら撒く人たちがいる。しかしそうした行動を繰り返すと、取り返しのつかない不利益を被る恐れもある」という――。
冷えたラムネ
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バラエティー番組に対してTwitterで多くの「ツッコミ」が見られた

9月12日のテレビ番組「ワイドナショー」(フジテレビ系)で、身の回りでよく見かけるが、ほとんど名前の知られていないものを集めた書籍『アレにもコレにも!モノのなまえ事典』(ポプラ社)という本の話題になった。

司会の東野幸治氏が「なにか知りたいモノの名前はありませんか」と振ると、元サッカー日本代表の前園真聖氏が「ラムネの中に入っている玉の正式名称が気になる」と質問した。東野氏は「(『モノのなまえ事典』で)調べました。ビー玉でした」とあっさり回答。松本人志氏が「スベったもん勝ちですか」とツッコむという、自然なやりとりがあった。

ところが、このやりとりにTwitterで「それはビー玉ではなく、A玉である」というツッコミが入り、大量の「いいね」を集めた。実はネット上では「ラムネ瓶に入っているガラス玉はビー玉ではなくA玉」という珍妙な説が以前から広まっているのだ。

この説を支持する人たちは、おおむねこう主張している。

「ラムネのビンの中にある玉は、フタの役目を果たすために完全な球体でなければならない。工場ではラムネのビンに使える玉をA玉と呼び、歪んでいる不合格の玉をB玉と呼んでいた。その不合格のB玉を、子供たちのおもちゃとして売り出したところ大流行。こうした経緯から、ラムネのビンに入っているのはA玉。子供たちのおもちゃはB玉と呼ぶようになったのである」

これが「A玉B玉説」である。