結局は過半数を大きく超えた与党・統一ロシア
ロシアで9月17~19日にかけて5年ぶりとなる総選挙が行われた。定数450議席のうち半分を小選挙区制で、残り半分を比例代表制で選出する形式で行われた今回の総選挙では、プーチン大統領が率いる与党・統一ロシアの劣勢が支持率調査から明らかであり、前回得た343議席をどれだけ守ることができるかが大きな争点となった。
即日開票の結果、与党統一ロシアは前回から19議席を減らして324議席の獲得にとどまったが、過半数である226議席を引き続き大幅に上回り、第1党を維持した(図表1)。もともとロシアの現在の選挙制度は与党・統一ロシアに有利に設計されており、同党は指標が多い小選挙区で225議席中198議席を得て圧倒的な強さを見せつけた。
反体制派は当然、今回の選挙結果に関しても不正を主張し、総選挙のやり直しを求めるなどシュプレヒコールを上げるだろう。欧米社会も厳しい態度を堅持するはずだが、一方で混乱を極めるアフガニスタン情勢ではロシアの協力が不可欠なことなどから、選挙不正を理由に経済制裁の強化を加えるようなことは当面ないと予想される。
今回の総選挙は、2024年に予定されている大統領選の事実上の「試金石」であった。2020年の憲法改正によってプーチン大統領は次期の大統領選にも出馬できるようになったが、プーチン大統領は後継者にその座を譲り、自らは統一ロシアの党首や下院議長に転じるなどして実質的な「院政」を敷くという見方が有力視されている。