スペックよりもデザインや世界観が大事

なぜ、ディフェンダーの中古車価格が新車価格を上回る程、人気が加熱しているのか。理由は4つ考えられる。①雰囲気、②希少性、③価格帯、④年齢層、といった点で、富裕層を中心とした顧客ニーズをうまくつかんでいるのだ。

一つ目の雰囲気とは、ブランド力ということだ。いまやこうしたハイスペックの車を、性能や品質をメインに選ぶユーザーがどれぐらいいるだろうか。どの自動車メーカーもカラーはあるが、グローバル化が進み、車のコモディティー化が進んだ結果、性能や品質では大差のない時代だ。多くの富裕層にとって、排気量や最高速度や出力などが高級外車を選ぶ一義的な要件ではなくなっているのだ。燃費の差もこのセグメントでは決定打にはならない。その車が醸し出すまさに雰囲気、歴史、イメージが大事なのだ。スペックよりも、デザインや世界観ということだ。

雪道を走行する新型ディフェンダー
画像提供=ジャガー・ランドローバー・ジャパン 広報部
ひと目で「ディフェンダー」とわかる、初代の特徴的なシルエットを継承しているという

「人と違うものを、早く手に入れたい」

そして、雰囲気と同様に、希少性も大切な要素だ。いくら雰囲気がよくても、人と同じが嫌いな富裕層は、皆が乗っている車は、極力避けようとするのだ。「東京随一の“セレブ通り”を走る富裕層が「テスラやレクサス」を選ばないワケ」でも紹介したように、富裕層の特徴として、①人と同じはいや、②面倒くさがり、③でも、構ってほしい、が挙げられる。まさに、人とは違うものを早く手に入れたい、待つのは面倒なので、高値でも中古車で仕入れたいということになるのだろう。

とはいえ、価格も大事だ。富裕層でも、コストパフォーマンスは当然気にするものだ。そして、最後は、自らの年齢にふさわしいかどうかだ。いくら雰囲気があり、希少性と価格帯がマッチしたとしても、余りにもスポーティーだったり、逆に、余りにも保守的だったりしてもダメで、年相応の車に乗りたいのだ。