子孫繁栄のためには財産を使い切れ

――政権交代を果たした民主党の公約の一つが、「天下りの全廃」だった。景気が停滞し、給与カットや雇用不安に直面したことで、天下りにより厳しい眼が向けられるようになったと浅田氏はいう。
<strong>浅田次郎</strong>●1951年、東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で第16回吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で第117回直木賞、2000年『壬生義士伝』で第13回柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で第1回中央公論文芸賞、第10回司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で第42回吉川英治文学賞を受賞。
浅田次郎●1951年、東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で第16回吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で第117回直木賞、2000年『壬生義士伝』で第13回柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で第1回中央公論文芸賞、第10回司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で第42回吉川英治文学賞を受賞。

「天下り」の問題が、いまになって大きく取り上げられるのは、不景気だからだ。

不景気というのは案外、ありがたいものである。景気がいいときは「この好景気は何のせいだ!」とは誰もいわない。不景気だから「誰のせいだ?」と深く考える。それが背景となって、政権交代も起きた。日本社会には、いままで「いいや、いいや」で済ませてきたあやふやな部分がたくさんある。そうした矛盾にみなが気づきはじめたのだろう。