「怪談家」として活動している稲川淳二さんは、全国ツアー「怪談ナイト」のお客から「両親の幽霊には会えますか?」と聞かれたことがある。そのとき稲川さんはどのように答えたのか。ロングインタビューの後編をお届けする――。(後編/全2回)
稲川淳二さん
撮影=横溝浩孝

「もう一度聞きたいと思わせる面白さ」がなければならない

前編から続く)

――稲川さんの怪談ツアー「稲川淳二の怪談ナイト」は今年で29年目を迎えたそうですが、長年、続けてきた原動力はなんだったのでしょう。

暗闇で怪談を話す稲川さん
「稲川淳二の怪談ナイト」で公演を行う稲川淳二さん

ツアーをはじめた頃私、まだ45歳でした。その頃、すでに80いくつのおじいさんが、自分が体験した不思議な話をつづった原稿をくれたんだ。父親よりも年上の人が、私のような若造に話を託してくれた……。あれは本当にうれしかったなぁ。

ツアーの当初は、タレント業も続けていたんだけど、そんなファンの人たちを裏切れないな、怪談の魅力を本気で伝えていこう、という気持ちになり、怪談に専念したんですよ。

そしたら、もう29年でしょう。

この前なんて、最初の頃にお母さんに連れられてきていた、ちっちゃな女の子が、赤ん坊を連れてきてくれましたからね。怪談には世代を超えて、人を惹きつける魅力があるんだな、と改めて思いました。

客席に手を振る笑顔の稲川さん
「稲川淳二の怪談ナイト」で公演を行う稲川淳二さん

それにね、私のツアーにきた方たちは、否応なしにジェットコースターに乗せられているようなもんだから。

――ジェットコースターですか?

そう。知らない人間同士が同じジェットコースターに乗せられて「カタン、カタン」とレールを上っていくように怪談がはじまる。「わー!」「きゃー!」とみんなが悲鳴を上げる。みんな知り合いじゃないんだけど、同じ空間で怪談の面白さを分かち合うんですね。

で、ジェットコースターって降りると「あぁ、おっかなかったぁ」って言ったあと、すぐに「もう一回乗ってみる?」ってなるじゃない。あれと同じ感覚。だから怪談はただ怖がらせるだけじゃなくて、もう一度聞きたいと思わせる面白さがなければならないんですよ。