定年前に「老後の年金生活が楽しみ」と考えるサラリーマンは多いものです。しかし、勝間和代さんは老後の幸せな人生のために「年金は受け取らない覚悟を」と言います。なぜ年金に頼ってはいけないのでしょうか。勝間さんが自身の体験も踏まえて、ロジカルに解説します――。

※本稿は、勝間和代『健康もマネーも人生100年シフト! 勝間式ロジカル不老長寿』(宝島社)の一部を再編集したものです。

高齢者の財布
写真=iStock.com/SilviaJansen
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働けば働くほど年金はもらえなくなる

老後の生活資金というと、多くの人は年金を思い浮かべるでしょう。そして、蓄えと年金だけでなんとか過ごそうというのが、一般的な考え方だと思います。

しかし、私が推奨したいのは、年金は最後の砦として、生活保護のような存在として考え、基本的には自分の力でいつまでも収入を得るような生き方です。それはなぜかというと、ストック収入ではなくて自分のフロー収入のなかで暮らせないと、節約ばかりでケチくさくなってしまったり、生活自体が、小さく閉じこもっていったりするようになるからです。

さらに恐ろしいのが、フロー収入がほしいとしても、基本的に年金はフロー収入としてあてにならないことです。

数年前、遅ればせながら私は年金に関して衝撃的な事実を知りました。それは、65歳を超えて月収が一定以上ある場合は、厚生年金との二階建て部分がもらえなくなるのです。

日本の公的年金には、日本国内に住む20歳以上の人すべてが加入する基礎年金と、企業などに勤めている人が加入する厚生年金があります。通常、厚生年金に加入している人は、65歳以上になったら、基礎年金に加えて厚生年金の分ももらうことになります。これを年金の二階建てと呼びます。

しかし、年金支給時の65歳以上になっても一定の収入がある場合は、基礎年金しかもらえないことになります。具体的には、月額37万円以上から、収入が上がるにつれて少しずつ減額されます。57万円以上になると、まったくもらえなくなるのです。これを「在職老年年金制度」と呼びます。

これは、年金の制度設計上の問題ですので、今後は見直しも検討されているようですが、現状では、老後に働けば働くほど、年金がもらえなくなるということなのです。つまり、現在の年金制度は、65歳以上の人は働かなくて当たり前、働くことに対してまるで、罰則・罰金を科すような状況になっているのです。

しかし、この記事を読んでいる人は、ぜひともそんな制度設計には逆らって、65歳どころか、死ぬ寸前まで、年金に頼ることなく、十分な収入を得られるよう、目標を立てていってもらいたいと思います。