相手のニーズを明確にするための質問

では、続いて「営業力をアップさせたい」についてのトーク例。

「ちょっと聞かせてください。営業力をアップさせたいというのは、具体的に、どの年齢層の営業パーソンを元気にしたいな、とかいう希望はありますか? もっと言うと、誰に元気になってもらいたいとか、具体的な人物は浮かびませんか?」
「あー、そう言われると鈴木君かな」
「ありがとうございます。ちなみに、鈴木さんを元気にしたいっていうのは、どうしてなんでしょう?」
「実は、私が人事採用担当になった最初の年に彼らは入社して、入社時の鈴木君はすごくキラキラしてたんですよね。でも、この前、事務所に見に行ったら、ちょっと落ちこんでいた。ぜひ、彼に売る力をつけてもらって、もう一度元気になってもらいたい」

ここまでの質問で、相手は「鈴木さん」をイメージされていることがわかりました。

そこで、鈴木さんを中心に、どんな内容の研修にするかを明確にしていきます。

「鈴木さん世代の営業パーソンは、何人ぐらいいらっしゃるんですか?」
「40人です」
「その40人は、何年目の方ですか?」
「入社3年目です」
「じゃあ、その入社3年目の40人の方々に、元気が出る研修を行なうということは、メリットがありそうですか?」
「そうですね、ぜひ、お願いします」

という感じでしょうか。

このように、質問することで、だんだんとイメージが具体的になってきます。

一歩踏み出せない原因を突き止められる

もっと言えば、お客さまとの予算の交渉も、「分解力」がものを言います。

浅川智仁『仕事ができる人は、3分話せばわかる 信頼を勝ち取る「準備・具体性・ストーリー」』(三笠書房)
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怖れることなく、

「差し支えなければ、予算がおいくらなのか、だいたいの幅でもかまいません、教えていただけますか?」

と聞けばいい。

金額を伝えて「高い」と言われたら、これも分解する質問で返せます。

「ありがとうございます。ちなみに何と比べて高いのか、教えてもらえますか?」

と聞けばいいのです。

お客さまから「高い」と言われると、それで終わってしまう人がいます。

とくに不動産会社の営業研修のときによく言うのですが、「高い」とお客さまが言ったときに、「ですよね」で終わるのでは、営業パーソン失格です。

そこでどうして、「何が高いのか?」と聞かないのでしょう。

「今、お客さまが高いとおっしゃるのは、何について高いと感じられたのでしょう? 物件価格が相場に比べて高いということですか? 仲介手数料でしょうか? それとも手付金の額ですか?」
「手付金が高いかな」
「ありがとうございます。今回、仮に物件価格の10パーセントとしたら、250万円から300万円ぐらいの手付金が必要になります。それが若干高いっていうことで、間違いないでしょうか?」
「間違いないです」

分解することで、金額のなかでも、とりわけ「手付金」が高いことがわかりました。

そうすると、手付金にしぼって、さらに分解して質問を続けます。

「たとえば仮に、できる、できないはちょっと横に置いておきますが、150万円になったとしたら、現実的ですか?」
「そうですね、150万円になったら現実的ですね」
「月々のお支払いは若干上がりますが、手付金が150万円だったら現実的ですね?」
「現実的です」
「180万円ではどうですか?」
「180万円でも現実的です。でも、200万円以上はキツい」
「わかりました。200万円はちょっとしんどいってことですね。では、少しお時間をください。私、上司と交渉しますから。180万円まで下げられたら、前に進めましょう」
「ああ、じゃあ、お願いします」

いかがですか?

質問して分解すると、イメージが具体的になるだけでなく、相手の真の目的や、もう一歩を踏み出せない理由も明らかになります。

そして、交渉のアプローチの幅もグッと広がるのです。

できる人の「質問トーク」。

ぜひ、参考にしてください。

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