世界的なパンデミックで、各国のリーダーはさまざまな「言葉」を国民に投げかけてきた。では日本の政治家の言葉はどうか。ジャーナリストの池上彰さんは「日本のリーダーには、言葉に力がある人が少ない」と指摘する。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院長の上田紀行さんと、東京工業大学未来の人類研究センター長の伊藤亜紗さんとの鼎談をお届けしよう――。

※本稿は、池上彰・上田紀行・伊藤亜紗『とがったリーダーを育てる 東工大「リベラルアーツ教育」10年の軌跡』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

マスクをつけた地球のイメージ
写真=iStock.com/1001slide
※写真はイメージです

理系の学生にこそ「言葉で伝える」経験が必要

【上田】新型コロナウイルスの流行という未曾有の事態に、各国のリーダーはそれぞれ対応を迫られました。言葉の力で国民の共感を醸成した人がいたいっぽうで、はたして指導力を発揮できているのかと厳しい視線が向けられている人も見受けられます。いまこそリーダーの真価が問われていますが、その評価はさまざまです。