“働く”原動力は結局お金

うちの自社株が100億円で売れたくらいですから、当然儲かっています。儲かっているからこそ、あるいは儲けるための秘訣として、給料は、同じ地域、同じ業種の水準よりも、かなり高い。

平美都江『なぜ、おばちゃん社長は価値ゼロの会社を100億円で売却できたのか 父が廃業した会社を引き継ぎ、受注ゼロからの奇跡の大逆転』(ダイヤモンド社)
平美都江『なぜ、おばちゃん社長は価値ゼロの会社を100億円で売却できたのか 父が廃業した会社を引き継ぎ、受注ゼロからの奇跡の大逆転』(ダイヤモンド社)

大卒の兄は地元の農協、高卒の弟はうちの従業員という兄弟がいる。同じ年に入社したが、弟の給料のほうが多かった。当然そういう話は地元にも知れ渡っている。税務署や労働基準監督署の人たちが来て、うちの給与水準を知ると、みんなびっくりします。

結果を出している会社として、結果を出している従業員には、大手以上の給料を払います。私はそれが当然だと思います。

なぜそうするのか? 話は単純、簡単です。

生活に余裕があってこそ安心して働ける。

きれいごとを言っても、これは不変の真理でしょう?

我慢で成り立つ『愛社精神』では、“効率化”は望めない

やりがいがある仕事、大切です。素敵だと思う。では、やりがいはあるから給料は我慢してくれと言われて、モチベーション上がる人がいますか? という話です。それって、ただの搾取じゃないですか。

先ほど、残業してでもトラブルを防止する、と述べました。それが成立するのは、ここで踏ん張ってしっかり準備して、翌日フルで働けるようにしておくことこそが、高い給料をもらっていることの従業員としてのプライドだと思ってくれているからです。

生返事してチンタラやって、ネガティブな気持ちでいるのは、報われていない証拠。

私は会社が儲かっているなら、十分に、あるいはそれ以上に還元したいし、そのメリットをわかっているつもり。愛社精神を持てなんて言わない。みんなで金のために働こう、どんどん改善していこう、でいいんです。それが一番効率いいし、そんな会社が好きらしい。それは結局、愛社精神ではないでしょうか?

地元では、「平鍛造って過酷らしい」なんて噂も……。社長の私も口が悪いし……。

でも、うちの従業員はみんな「ラクだ、ラクだ」と言うばかり。まあ、やる気のある人が残ってくれて、合わない人が辞めていくからなのかもしれませんが。