1カ月続けると意識が変わる「アプリシエーション・リスト」
ここで実践的なエクササイズをひとつご紹介しましょう。
これはわたしが「アプリシエーション・リスト」と呼んでいるものです。アプリシエーションとは、あるものやことに対し、理解し、認め、感謝することを意味します。
エクササイズはとてもシンプルで、自分にとって大切だったり、感謝できる人・もの・ことを思い浮かべて1日10個書き出します。同じ項目を重複して書くことはできません。これを1カ月続ければ、ひとつも重ならない300項目のアプリシエーション・リストが完成します。
たいていの人は、4~5日くらいすると急に書くことがなくなってきます。ここからがこのエクササイズの本当の始まりで、あなたが「意図的に」アプリシエーションできることを探していかなくてはなりません。自分の意識の向け方がどれだけ偏っていたのか。また、自分の意識の外側にはどれくらい大切なものや感謝できることが存在していたのか。それに気づく練習が、ここから始まります。
余命宣告
このアプリシエーション・リストは、わたし自身の人生における必要性から生まれたものです。30年前、20歳の時に、わたしは腎臓の病気で5年以内に死亡する確率は90%だと宣告されました。
病院から帰る道すがら、わたしは父にこう話したのを覚えています。「90%でよかったね。誰かが残りの10%に入るはずだから」。そして、わたしは考えました。自分のマインドを変えることができれば、わたしは10%に入れるかもしれない。奇跡が起きて、わたしは生き続けることができるかもしれない、と。
それからは、自分のマインドの在り方について猛勉強しました。まずは禅を学ぶことで、常に怒りや恐怖に支配されている状態からの脱却を試みました。さらに、不可能と思える状況下でも新しい選択肢を見つけ出す方法を模索しました。うまくいったり、いかなかったりしましたが、それでも意識をどこに集中させるべきかを徐々に理解できるようになりました。
わたしたちは、どのような状況に置かれていようとも、自分の意識とエネルギーをどこに集中させるかを自ら選択できます。そして、わたしが闘病生活の中で身をもって学んだのは、前向きな方向へ意識とエネルギーを集中させれば、それだけ成長できるということでした。逆に、破綻していたり、不安に満ちているところへ意識を集中させれば、それらを増幅するだけだということも学びました。「わたしは死ぬのか?」、あるいは「わたしはどんな選択肢を作り出せるのか?」。このどちらに意識を向けるのかによって、結果は変わってくるのです。
余命5年の診断から17年。わたしはついに死にかけていました。その時医師から言われた選択肢の中で、わたしは臓器提供者を見つけることを選び、おそるおそる助けを求めました。知り合い全員にわたしの状況を知らせるために手紙を送り、それからただ待ち続けました。
3カ月後に受けた病院からの電話で、臓器提供を申し出てくれた人が24人以上いたことを知りました。そして、わたしはかつての教え子である女性から腎臓を受け取りました。わたしの肌には色が戻り、生き返りました。