大きく息を吸い込む階段は昇り降りはリスクが高い
咳はたいていの場合、1回だけではありません。1番の人が何度も咳をするたび、2番の人はまた雲の中に頭を突っ込み、ウイルスが含まれたエアロゾルを吸うことになります。
次から次へと、前にいる人が出したエアロゾルの雲の中に、自動的に入っていく。自分の意思とは別に、リスクのまっただ中に飛び込んでいくことになります。感染伝搬を防ぐには、まずは咳をする人がマスクをすることが第一ですが、2番・3番の人もマスクをして、吸い込まないようブロックすることが大切です。
危ないと思ったら、マスクの上から手でぴったり押さえてすき間をなくしたり、その空間を通過する間だけ息を止めたりすることも、自己防衛のためには有効な方法です。
エスカレータ同様のリスクがあるのが階段です。
特に階段を上る時は、心拍数が上がり呼吸が速くなって、深呼吸のように強く息を吸います。先ほど「マスクをしたら走るな」という話をしましたが、息の強さの問題はマスクの粒子通過阻止能力の低下の話だけではありません。
安静にしている時の軽い呼吸なら、ウイルスを吸い込んだとしても、ある程度の大きさのエアロゾルは呼吸器の奥まで届きにくいのです。大きく息を吸えば、ウイルスは肺の奥まで入り込みやすくなります。
荒い呼吸の状態で感染すればいきなり肺に病巣ができ、重症化しやすくなります。肥満体形の人や、呼吸器障害を持つ人はなおさらです。大勢の人がいる駅などの階段では、適切にマスクを密着させて着け、息が上がらない程度の速さで上り下りすることです。
エレベーターは空調や出入口に近いところに立つべき
では、エレベーターはどうなのかと気になるところでしょう。エレベーターの中を見てください。たいてい空気の吹き出し口があります。手をかざせば風が吹いてくるのが分かると思います。
私なら、乗る時はできるだけそうした空調の送風口や、出入り口に近い、新鮮な空気が入ってくる場所を選んで立ちます。誰かがひどく咳をしたら息を止め、最寄りの階で降りるといいでしょう。屋外では、やみくもにマスクをする必要はありません。
逆に室内ではまわりを見渡して少し考え、自分を守る行動をとることです。